厚生労働省愛知労働局は4日、複数の事業所での違法な長時間労働で是正指導したにもかかわらず、その後も改善しなかったとして、名古屋市の運送会社「大宝運輸」の社名を公表し再度、是正指導した。月80時間を超す違法な時間外・休日労働が同社のトラック運転手の約2割、計84人で確認された。うち74人は月100時間超で、最長197時間のケースもあった。
■愛知労働局、基準厳格化後で初の社名公表
厚生労働省は今年1月、電通の新入社員の過労自殺問題を受け、違法な残業をさせた企業の社名公表基準を拡大。従来は従業員10人以上で月100時間超の残業が確認さた場合などを対象にしていたが、「月80時間超」などに厳格化した。基準拡大後、社名公表は同社が初めて。
■愛知労働局、基準厳格化後で初の社名公表
厚生労働省は今年1月、電通の新入社員の過労自殺問題を受け、違法な残業をさせた企業の社名公表基準を拡大。従来は従業員10人以上で月100時間超の残業が確認さた場合などを対象にしていたが、「月80時間超」などに厳格化した。基準拡大後、社名公表は同社が初めて。
大宝運輸の本社(4日、名古屋市中区、画像省略)
同労働局によると、昨年12月〜今年2月の同社への立ち入り調査で、2事業所の運転手54人が月80時間超の違法残業をしていたことが判明。うち50人が月100時間超で、最長197時間に及んだ。12月に是正指導し、2月にも経営幹部を呼び出して指導した。
同労働局が改善状況の確認のため7月に立ち入り調査したところ、別の2事業所で運転手30人について月80時間超の残業を確認。うち24人は100時間を超えていた。状況が改善していないとして、同労働局は是正指導するとともに社名を公表することにした。
同社のトラック運転手は約400人で、少なくとも約2割が違法残業をしていたことになる。
同日、愛知労働局の木暮康二局長が大宝運輸の小笠原忍社長に是正を要請する指導書を渡した。木暮局長は「企業トップが主導し抜本的に改善を図ることが必要だ」とするコメントを発表。「長時間労働は取引先との関係によるところもあり、発注元も配慮していただきたい」と業界全体での取り組みも求めた。
同社は愛知県内が地盤の、主に食品を輸送する中堅輸送会社。2017年3月期の売上高に相当する営業収益は88億円。
■社長「改善を断行」 背景に深刻な運転手不足
大宝運輸の小笠原忍社長は4日、名古屋市内で記者会見し「深くおわび申し上げる」と陳謝した。「経営の最優先課題として、早急に長時間労働の改善を断行していく」と表明。社長がトップの委員会を設け、運転手の採用活動の強化や取引先の削減を進めるとした。
記者会見で説明する大宝運輸の小笠原忍社長(4日、名古屋市中区)
違法残業が続いた背景には、深刻な運転手不足があったと説明した。実際、運輸業界の人手不足は慢性的だ。愛知労働局によると、7月の「輸送・機械運転」の同県内の有効求人倍率は3.09倍と、全職種平均(1.59倍)の約2倍の水準だった。
同社は2015年にも愛知、三重両県の労働基準監督署から長時間労働で指導され、一部の取引先を減らすなどしてきた。しかし「仕事を減らしきれなかった」(小笠原社長)。
4月には大口顧客との取引をやめて1事業所を閉鎖し、所属する運転手33人を別の事業所に振り分けたという。さらに40〜50代の経験者17人を中途採用した。ただ7月までに29人が退職したこともあり、違法残業を減らせなかったという。
同労働局によると、昨年12月〜今年2月の同社への立ち入り調査で、2事業所の運転手54人が月80時間超の違法残業をしていたことが判明。うち50人が月100時間超で、最長197時間に及んだ。12月に是正指導し、2月にも経営幹部を呼び出して指導した。
同労働局が改善状況の確認のため7月に立ち入り調査したところ、別の2事業所で運転手30人について月80時間超の残業を確認。うち24人は100時間を超えていた。状況が改善していないとして、同労働局は是正指導するとともに社名を公表することにした。
同社のトラック運転手は約400人で、少なくとも約2割が違法残業をしていたことになる。
同日、愛知労働局の木暮康二局長が大宝運輸の小笠原忍社長に是正を要請する指導書を渡した。木暮局長は「企業トップが主導し抜本的に改善を図ることが必要だ」とするコメントを発表。「長時間労働は取引先との関係によるところもあり、発注元も配慮していただきたい」と業界全体での取り組みも求めた。
同社は愛知県内が地盤の、主に食品を輸送する中堅輸送会社。2017年3月期の売上高に相当する営業収益は88億円。
■社長「改善を断行」 背景に深刻な運転手不足
大宝運輸の小笠原忍社長は4日、名古屋市内で記者会見し「深くおわび申し上げる」と陳謝した。「経営の最優先課題として、早急に長時間労働の改善を断行していく」と表明。社長がトップの委員会を設け、運転手の採用活動の強化や取引先の削減を進めるとした。
記者会見で説明する大宝運輸の小笠原忍社長(4日、名古屋市中区)
違法残業が続いた背景には、深刻な運転手不足があったと説明した。実際、運輸業界の人手不足は慢性的だ。愛知労働局によると、7月の「輸送・機械運転」の同県内の有効求人倍率は3.09倍と、全職種平均(1.59倍)の約2倍の水準だった。
同社は2015年にも愛知、三重両県の労働基準監督署から長時間労働で指導され、一部の取引先を減らすなどしてきた。しかし「仕事を減らしきれなかった」(小笠原社長)。
4月には大口顧客との取引をやめて1事業所を閉鎖し、所属する運転手33人を別の事業所に振り分けたという。さらに40〜50代の経験者17人を中途採用した。ただ7月までに29人が退職したこともあり、違法残業を減らせなかったという。