岩手県は、今年度末に定年退職する県職員の退職手当を1人平均160万円程度削減する方針を固めた。
県議会2月定例会に関連条例の改正案を提出し、可決後は年度内に施行したい考え。退職手当削減を巡っては、2月1日に施行する埼玉県で、教職員110人が1月中の退職を希望する事態となっている。本県では同様の動きは見られないが、労働組合側は「退職直前の削減は人生設計を狂わせる」と反発している。
県人事課によると、今年度末に退職する県職員は教職員や警察官を含めて計490人。退職手当を部長級で約179万円、主任主査級で約138万円減額し、総額約8億円を削減する方向で調整している。
昨年11月に成立した改正国家公務員退職手当法により、国家公務員の退職手当は今年度末から削減される。県の条例改正は総務省の要請を受けた措置で、同課は「国の制度に合わせて今年度末から削減すべきだ」としている。
労組側は削減方針の撤回を掲げて座り込みなどの反対運動を強めており、労使交渉は難航が予想される。
県職員関係の7労組でつくる県地方公務員共闘会議は、「労使の信頼関係がなければ埼玉のような問題が起きないとも限らない。業務に支障が出ない配慮が必要だ」と訴えている。削減する場合は4月1日以降の施行とし、今年度末の退職者に適用しないよう求めることも検討している。