「#KuToo」パワハラ指針に反映を 足元の自由化 広がり欠く (12/4)

「#KuToo」パワハラ指針に反映を 足元の自由化 広がり欠く
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201912/CK2019120402000139.html
東京新聞 2019年12月4日 朝刊

〔写真〕記者会見する「#KuToo」運動を進める石川優実さん(手前)=3日午後、東京・霞が関の厚労省で(坂本亜由理撮影)

 働く女性がヒールの高い靴などの着用を強制されることに反対する「#KuToo(クートゥー)」運動で、取り組みを先導してきた石川優実さん(32)が三日、企業への規制を導入するよう求める要望書を厚生労働省に提出した。今年の流行語にも選ばれるなど、足元から働きやすい環境を考えるこの運動への関心は高まりつつある。ただ、職場への広がりは限定的なのが実情だ。(嶋村光希子) 

 要望書では、女性活躍・ハラスメント規制法の成立を受け、政府が年内に策定する企業向け指針に、靴やメガネなどに関する不要なルールを強制するのはハラスメントにあたると明記することを求めた。石川さんは、先月公表された指針案には服装や外見についての言及がないことに触れて「私たちが声を上げて頑張っているのに、なぜ国が動いてくれないのか。全ての人が安全に差別されずに働くということをしていきたい気持ちがあるのか」と、政府の姿勢を批判した。

 #KuTooは「靴」と「苦痛」を掛け合わせた造語。ヒールの高い靴などの強制は外反母趾(ぼし)といった健康被害を生じさせる恐れがあるほか、性差別の側面もあるとして、石川さんらが今年に入って禁止を求める署名を呼び掛け、今月三日時点で三万一千人分が集まった。

 こうした中、一部の企業には運動に呼応する動きも出ている。NTTドコモは八月からドコモショップの店員がスニーカーも選べるよう、パンプスの義務付けを廃止。日本航空の傘下で来年就航予定の格安航空会社(LCC)「ZIPAIR(ジップエア) Tokyo(トーキョー)」は、制服に合わせる靴として、男女ともにスニーカーを認める方針だ。

 ただ、こうした取り組みは広がりを欠いている。連合の調査によると、職場に服装や身だしなみの決まりがあると答えた人のうち、二割は女性のヒールの高さが規定されているとした。大手航空会社の客室乗務員は依然、パンプス着用を義務付けられている。
 

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