第61回 総合職の時給は一般職より低い?!

前回、ある大手生保のリクルート・パンフから、朝7時半に出社して、昼食休憩は30分しか取らず、夜8時に退社する模範社員を紹介しました。この会社では8時〜19時半の人もいるようですが、他の例も見てみると、男性の望ましいの働き方は8時〜20時と考えられているようです。
 
他方、同じパンフによれば、この会社には朝8時45分に出社して、17時に退社している人もいます。その人は一般職の女性です。これはコース別雇用管理に名を借りた女性差別といわなければなりませんが、今日は時給の問題について考えてみましょう。
 
この会社の募集要綱には、2009年4月現在の初任給として次のように書かれています。
総合職  大卒: 月給20万5000円
一般職  大卒: 月給17万5000円

 

勤務時間は男女やコースの別なく、9:00〜17:00(実働7時間)となっています。祝日、年末年始、有給休暇、特別休暇などは単純化のために無視し、完全週休2日(土日)であることから、出勤日数は月22日とします。そのうえで比較にあたっては、次のように仮定します。8:00〜20:00の総合職は毎日4時間残業(うち3時間は法外残業)しているが、残業代はまったく支払われていない。8:45〜17:00の一般職は15分の早出があるが、その分の残業代は支払われていない。
 
 表 残業代が支払われない場合の総合職と一般職の時給比較
 
労働時間
月給
日給
時給
総合職
11時間
205000
9318
847
一般職
7時間15分
175000
7955
1097
(注)小数点以下は四捨五入した
 
上の表に示されているように、時間外労働に対して残業代が支払われない場合は、月給では一般職より3万円高い総合職も、時給で計算すると一般職より250円も低くなります。この場合、総合職の月給が一般職より高くなるには、計算上、26万5474円を超える必要があります。 

ここで例にあげた会社の総合職の新入社員の仮定では、ただ働きは月88時間に上ります。また、1日1時間の法内残業を通常の時給(205000円÷22日÷7時間=1331円)で、1日3時間の法外残業を通常の時給の1.25倍の割増賃金で計算すれば、不払残業賃金の総額は約11万円(10万9808円)に達します。

選択肢は3つあります。?現状どおり賃金不払残業を続ける。?残業を断りただ働きをやめる。?残業代を全額支払わせる。さて、あなたはどれを選択しますか。実現可能性は別にして個人的に望ましいのはどれですか。

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