第234回 これでは若者が日本の未来に希望を抱けないのも当然です

9月10日の当トピックス欄に今年の「厚生労働白書」に関するニュースが出ています。その記事では同省が今年3月に実施した「若者の意識に関する調査」の結果が紹介されています。注目されるのは、日本の未来について、若者(15〜39歳、3133人)の19%が明るいと思うと回答し、45%が明るいとは思わないと回答していることです。

個人年収を見ると、200万円未満が41%、200〜400万円未満が20%、400〜600万円未満10%、600〜800万円未満が2%で、あとはコンマ以下です。これは休業者やいわゆる専業主婦などの労働所得のない者を含んでいるので、これをもって労働所得の分布とみなすことはできません。しかし、世帯年収で見ても、200万円未満が9%、400万円未満が30%もいます。このことは貧困の深刻な広がりを示しています。

ここ2、30年、若者の間では、雇用の非正規化が他の世代以上に顕著に進んできました。またその結果、労働所得は他の世代以上に大きく低下してきました。そのことは前回取り上げた「就業構造基本調査」によっても確かめることができます。

同調査は5年毎に行われています。20年前の1992年調査と最近の2012年調査を比較すると、15〜24歳の若者では、20年間に年収150未満の者の割合がなんと25%から44%に増加しています。逆に年収150万円以上の割合は75%から56%に減少しています。

15〜24歳の若者の44%もが年収150万円未満であることは、いまでは同年代の若者の50%が非正規労働者(民間企業でいえば非正社員)として働いているからにほかなりません。このなかには、前回述べたように、アルバイトに従事している高校生や大学生も含まれています。

学生アルバイトならいくら時給が低くてもかまわないというわけではありません。社会人のパート、アルバイト、派遣などの非正規労働者の多くは、年齢が高くなり自分の収入だけで生活せざるを得なくなっても、学生アルバイト並みの低い時給で細切れに働かざるを得ないのが今の日本の現実なのです。

これでは若者が日本の未来に希望を抱けないのも当然です。

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