看護師2割減の病院も 小中高休校要請で医療機関が混乱の不安 千葉市長「社会が崩壊しかねない」〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200227-00000111-sasahi-soci
2020/02/27(木) 21:06配信AERA dot.
看護師2割減の病院も 小中高休校要請で医療機関が混乱の不安 千葉市長「社会が崩壊しかねない」〈dot.〉
写真はイメージです(c)getty images
安倍晋三政権が27日夕に発表した全国小中高校や特別支援学校への臨時休校要請に、衝撃が広がっている。インターネットでは、「良い判断」「遅すぎたくらい」といった賛同の声があがる一方、医療機関の混乱を懸念する意見も出ている。
千葉市の熊谷俊人市長は、安倍首相による休校要請発表の報道が出た直後にツイッターで、
<衝撃の報道。全国一斉春休みまで休校…いくらなんでも…>
と投稿。さらに、
<医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません>
と、自治体トップとしての懸念を表明した。
保育施設を運営するフローレンス代表の駒崎弘樹氏も、ツイッターにこう投稿している。
<政府の一斉休校の「要請」には従わないでください。中国の約4万5000人のデータからも9歳までの死亡者数は0です。全くエビデンスに基づいていません。それより共働き家庭が働けなくなり、医療・福祉が崩壊し、他のところで死者が出ます>
熊谷市長や駒崎氏が不安を感じるのは無理もないことだ。医療機関の混乱は、すでに現実になっている。
新型コロナウイルスの感染者が54人(27日現在)にのぼっている北海道は26日、国に先がけて道内の小中学校や特別支援学校に臨時休校を要請。私立学校を含めた道内すべての小中学校1691校が1週間程度の休校を決めた。
これが医療機関を直撃した。帯広市の帯広厚生病院(菊池英明院長)では、臨時休校の決定を受けて職員への聞き取りを実施。その結果、子供が学校に通えないと出勤できない看護師が、最大で全体の2割にあたる170人にのぼる可能性があることが判明した。そのため、28日以降の外来診療は、予約や救急患者のみ受け付けることになった。同病院の職員は、こう話す。
「中学生は留守番させることができても、さすがに小学生の子供を家に残すのは不安だという声が多かった。そのため、一部の入院病棟で患者さんの受け入れを制限しながら、そのスタッフを外来診療に振り分けることを考えています」
同病院は、十勝地方唯一の感染症指定病院でもある。今後、感染者が拡大すれば同地方の地域医療を支える“最後の砦”となる。前出の職員は「感染症指定病院としての機能を維持しつつ、役割を果たしていきたい」と話す。
安倍首相の発表に先立って臨時休校を決定した大阪市では、共働き家庭で強い希望がある場合は子供を預かることもできるという。一方、ある公立中学の校長はこんな不安を漏らす。
「医療機関に勤務する親のために学校が子供を預かるとなると、他の親も『ウチの子供も預かってほしい』という声が次々に出てくる。これまで想定していなかったことです」
先に紹介した熊谷市長のツイッターでは、こうも書かれている。
<私達のこの間の悩んだ末の検討が全て吹っ飛びました。なんとか社会を維持する方策を週末に考えます>
混乱を最小限におさめるにはどうすればいいのか。社会的機能を維持するための対策が急務になっている。
(AERA dot.取材班)