70歳就業法が成立 企業に努力義務 来年4月実施
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202004/CK2020040102000133.html
東京新聞 2020年4月1日 朝刊
希望する人が七十歳まで働けるよう企業に就業機会確保の努力義務を課すことを柱とした関連法が三十一日、参院本会議で自民党などの賛成多数により可決、成立した。少子高齢化の中、社会保障制度の担い手を増やすため、高齢者の就業や副業・兼業といった多様な働き方を促進する内容。二〇二一年四月から実施する。
関連法は、高年齢者雇用安定法や雇用保険法など六つの法律を束ねた。
七十歳までの就業は企業の選択肢を拡大した。定年延長・廃止や継続雇用制度の導入といった従来の制度のほかに、起業やフリーランスを希望する人への業務委託や、自社が関わる社会貢献事業に従事させることも新たに加えた。継続雇用制度では他社に転職させることも認める。
企業はいずれかの方法で就業機会の確保に努める。業務委託や社会貢献事業への従事は雇用関係がなくなるため、労使の合意を前提とする。厚生労働省は今後、合意するべき内容などを省令で定め、指針をまとめる。
副業や兼業を普及するため労災保険法も改正。仕事を掛け持ちする人の労災を認定する際、全勤務先での労働時間を合算して判断する新たな制度を設ける。
一方、現役時代から大幅に給料が減った六十〜六十四歳に月給の最大15%を支給する高年齢雇用継続給付制度は、二五年度から給付率を下げて最大10%とする。企業による六十五歳までの雇用が同年度から完全義務化されるため。
雇用保険法を改正し、一九年度までの時限措置としていた雇用保険の保険料率軽減を二一年度まで延長する。国庫負担割合も二一年度まで引き下げる。