新型コロナQ&A 第2弾 医療どうなる くらし・雇用は

雇用・労働
待機や解雇いわれたら?
 Q 新型コロナの影響で自宅待機や解雇といわれたら。

 A 新型コロナの影響で、解雇や雇い止めにあった人は2カ月で1028人(3月31日現在、厚労省発表)。突然「解雇だ」といわれたら、暮らしも成り立たなくなります。

【自宅待機・シフト削減の場合】
 国や自治体からの自粛要請があったとしても、会社の判断で休みにするわけですから、賃金の支払いを求められます。労働基準法26条は、平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払うことを求めています。また、民法536条2項の「使用者の責めに帰すべき事由」にあたる場合は、全額支給となります。シフト削減の場合も同様で、アルバイトにも適用されます。また、学校休業に伴う助成金も6月30日まで延長になっています。

【解雇の場合】
 新型コロナで会社の経営状態に影響が出たとしても、労働者には何の責任もありません。もし解雇されたら、会社の都合です。これは「整理解雇」と呼ばれ、通常の解雇よりも厳格に判断されます。そのために、「整理解雇の4要件」((1)人員削減の必要性があること、(2)解雇を回避するための努力が尽くされていること、(3)解雇される者の選定基準および選定が合理的であること、(4)事前に使用者が解雇される者へ説明・協議を尽くしていること)に照らして妥当性が厳しく問われます。

【雇い止めの場合】
 有期雇用契約の雇い止めの場合は、労働契約法19条に照らし、一定の場合には、解雇の場合と同様に、雇い止めに正当な理由(客観的合理的理由と社会通念上の相当性)が必要です。会社側の一方的な雇い止めは制限されています。
 解雇・雇い止めなどの労働相談は、全労連の労働相談ホットライン(0120・378・060)などに相談してください。

生活苦 使える制度は?
 Q 生活が苦しくなった。使える制度は?

 A 休業や失業で緊急に生活のためのお金が必要になった場合、社会福祉協議会による貸付制度があります。

【生活福祉資金貸付制度】
 3月25日から生活福祉資金制度にもとづく特例貸付が始まりました。「生活資金をただちに」と求める国民世論をはじめ、日本共産党など野党各党の要求が政府を動かしたものです。緊急対策の一環として、低所得世帯以外の一般世帯にも拡大し、「休業や失業等により生活資金でお悩みの方々に向けた、緊急小口資金等の特例貸付」(厚労省)制度です。
 この制度は、主に休業者向けの「緊急小口資金」と、主に失業者等向けの「総合支援資金」があり、両方で最大80万円まで借りられます。今回の特例措置で「償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」という返済免除規定が加わりました。(下の厚労省作成チラシ参照)
 このほか、自治体独自の緊急融資制度や休業補償制度などを創設する動きも広がっています。

主に休業された方向け(緊急小口資金)
 緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用の貸付を行います。
■対象者
 新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
 ※従来の低所得世帯等に限定した取り扱いを拡大。
 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても、対象となります。
■貸付上限額
・学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円以内
・その他の場合、10万円以内
 ※従来の10万円以内とする取り扱いを拡大。
■据え置き期間
 1年以内
 ※従来の2月以内とする取り扱いを拡大。
■償還期限
 2年以内
 ※従来の12月以内とする取り扱いを拡大。
■貸付利子・保証人
 無利子・不要
■申込先
 市区町村社会福祉協議会

主に失業された方等向け(総合支援資金)
※総合支援資金のうち、生活支援費
 生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行います。
■対象者
 新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯
 ※従来の低所得世帯に限定した取り扱いを拡大。
 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても、対象となります。
■貸付上限額
・(2人以上)月20万円以内
・(単身)月15万円以内
 貸付期間:原則3月以内
■据え置き期間
 1年以内
 ※従来の6月以内とする取り扱いを拡大。
■償還期限
 10年以内
■貸付利子・保証人
 無利子・不要
 ※従来、保証人ありの場合は無利子、なしの場合は年1.5%とする取り扱いを緩和。
■申込先
 市区町村社会福祉協議会
注 原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件となります。
今回の特例措置では新たに、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしています。
(写真)外出自粛で人出が少ない夜の東京・新宿の歌舞伎町=3日

解雇され、寮を出ろと…
 Q 会社を解雇され、寮を出てほしいと言われ困っています。どうすればいいですか。

 A 新型コロナウイルス感染拡大の影響による解雇、派遣切りなどで、会社の寮からの退去や家賃滞納を理由に立ち退きを迫られる事例も増えています。
 住まいは生活の基盤であり一度失うと自力で確保することは困難です。退寮を言われてもすぐに同意せず、労働組合などに相談しましょう。また、住宅確保給付金制度があります。2008年のリーマン・ショックの時、仕事も住まいも失った人々のために創設された制度です。
 家賃支払額が3カ月支給されます。再就職先が決まらないなどの「特別な事情」がある場合は最長9カ月まで支給が延長されます。求職活動を続けていることなどの支給要件があります。お住まいの自治体の福祉担当部署が相談窓口となります。
 家賃に限らず、生活困窮する場合は、生活保護制度をためらわずに活用しましょう。

「雇用調整助成金」とは?
 Q 「雇用調整助成金」って何?

 A 新型コロナの影響で、売り上げが減ったり、事業活動を縮小した事業主が労働者を休ませて雇用の維持をした時の「休業手当」に対する助成金です。
 政府は新型コロナの感染拡大に伴って4月1日から6月30日までを緊急対応期間として、雇用調整助成金の特例措置を拡充しました。雇用保険の加入期間が6カ月未満の人や被保険者でない人、新入社員やパート従業員を休ませた場合でも活用が可能です。助成率は、今回の特例では大企業が休業手当日額の3分の2、中小企業が5分の4。従業員全員を雇い続ける場合はそれぞれ4分の3、10分の9に増えますが、1人当たりの日額は8330円が上限です。支給日数の上限は通常、1年100日などとなっていますが、今回の6月末までの緊急対応期間は、通常の100日とは別枠で日数を確保しています。
 休業した労働者に直接支給するのではないため、企業が負担増を嫌って申請しない場合があります。日本共産党は、国による10分の10の助成、賃金・収入の8割以上の補償を求めています。(写真)新型コロナウイルスの感染予防対策で公演の中止を知らせる掲示=3月20日、東京都中央区の新橋演舞場

税・保険料・公共料金は
 Q 税金や保険料、公共料金への配慮は?

 A 納税・支払い猶予の制度があり、財産の差し押さえも猶予されます。
 国税庁は、税納付によって「事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる」などの条件を満たす場合、「税務署に申請することにより、納税が猶予されます」として、ホームページなどで税務署への相談をよびかけています。特に、▽新型コロナ患者発生に伴う消毒などにより財産に相当な損失が生じた場合、▽本人または家族が感染した場合、▽事業を廃止し、または休止した場合、▽事業に著しい損失を受けた場合―などの「個別の事情」について「まずは電話で最寄りの税務署に相談を」と強調しています。
 国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険については厚労省が3月10日、「関係事務の取り扱いについて」との事務連絡を出し、「保険者の判断で、保険料(税)の徴収猶予を行うことが可能とされている。…各保険者において、これについての周知も含め、適切に運営いただきたい」と都道府県などに連絡。厚生労働省は、厚生年金保険料についても、3月12日、日本年金機構に「納付の猶予」や「換値の猶予」の検討を求めました。電気・ガス・水道料金についても、政府は各事業者に全国一律の支払い猶予を要請し、多くのところで3月25日から申請受け付けが始まっています。日本共産党の清水忠史衆院議員などが国会で求めていました。
 詳しくは市町村や各事業者に問い合わせてください。

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