連続講座第2回 1月20日(水)コロナ禍と社会保障 ~貧困とセーフティネットの課題~ 吉永純 花園大学教授

Asu-net3回連続講座を実施します。全体のテーマは「コロナ禍と未来を考える~求められる公共性と日本の課題~」です。
第1回 2020年12月16日(水)19:00~20:30 
コロナ禍と憲法・地方自治 ~コロナ禍であらためて考える 自治体民営化のゆくえ~  講師 尾林芳匡 弁護士
第2回 2021年 1月20日(水)19:00~20:30 申込締切 1/16(土)
コロナ禍と社会保障 ~貧困とセーフティネットの課題~  講師 吉永純 花園大学教授

第3回 2021年 2月17日(水)19:00~20:30 申込締切 2/10(水)
コロナ禍と働き方 ~雇用危機をどう乗り越えるか~    講師 脇田滋 ASU-NET共同代表・龍谷大学名誉教授

参加方法 ZOOMでのウェブ開催 参加無料・カンパ歓迎・先着100名 申込必要:以下から申込
https://forms.gle/McHjrgiYVXzaCcWU8

当日は、Zoomで講師から約60分、お話をいただき、参加者からの質問に答えていただく予定です。
講師からのレジュメ、資料などが事前に届きます。事前に参加の皆さんにお知らせします。
また、講師が書かれた関連の著書、文献を読んで、ご質問があれば、
講座の数日前に、Asu-netのメール・アドレス( asu-net@hatarakikata.net)にお知らせ下さい。
講師に伝えて、講義に活かしていただくようにします。

第2回 コロナ禍と社会保障
~貧困とセーフティネットの課題~

2021/1/20(水) 19:00~20:30
申込締切 1/16(土)

◆吉永 純 (よしなが あつし)花園大学教授
◆講師紹介
 生活保護ケースワーカーなど京都市の福祉事務所で24年働いた後、2006年から花園大学で、貧困と生活保護等について研究。全国公的扶助研究会会長。著書に『生活保護審査請求の現状と課題―簡易・迅速・公平な解決をめざして』(明石書店、2020年)、編著に『判例 生活保護 わかる解説と判決全データ』(山吹書店)『QA 生活保護手帳の読み方・使い方 第2版』(明石書店)など。

吉永純教授(花園大学)

◆内容
 吉永純教授(花園学園大)の今回の講演は、激増する貧困を打開する手がかりについて以下のようなお話しをしていただきます。
 また、大阪の貧困の実態を大生連会長の大口耕吉郎さんにもご報告していただきます。

~吉永純先生の講演(概要)~
 コロナ禍の下で、これまでに薄々感じていたが、はっきりと見えてこなかった貧困(女性、若者・大学生、外国人、個人事業主等)が明らかになった。
 アメリカの貧困研究者フロリダ国際大のマー氏に言わせると、「日本における女性の貧困は、アメリカの黒人問題と同じだ」と指摘されている。リーマンショック後に出来たセーフティネット(住居確保給付金等)や、現行貸付制度等の柔軟運用等が一定奏功しているが、しかし、これらは貸付であるし、期限付き、期間限定の制度である。早晩、生活保護を頼ってくる人が増加すると思われる。
 しかし、生活保護は使いにくくなっている(基準の引き下げ、生活保護バッシング等の影響)また、新自由主義的政策の現れとして、生活保護ケースワークの外部委託問題などについても触れたい(特に大阪市、東京・中野区はひどい)
 ここで考えないといけないことは、
 ➀生活保護をはじめとする現行制度の運用の緩和と最大限活用によって当面の生活困難へ対応するとともに生活保護をもっと使いやすくすること等の、対応が不可欠となっている。
 ➁新自由主義的政策によって、ずたずたにされている、社会保障の立て直しを進めないといけない。 特に、医療介護分野での公的保障の後退が今回のコロナ渦で、保健所、医療崩壊、介護崩壊が明らかになっている。
 後期高齢者医療の自己負担の強化など、現政権は、高齢者の生活を圧迫するなど、これまでの政策を改める気配はない。この点で、現政権の新自由主義的政策(自助の強調)をどう改めさせるか、その手掛かりをどこに求めるか、を考えていきたい。

◆講座に関連する最近の記事

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吉永純著『生活保護審査請求の現状と課題 簡易・迅速・公平な解決をめざして』
(明石書店、2020年)

 生活保護制度では、権利侵害に対する裁判の前に都道府県知事に審査請求を行う必要があり、そこで出た裁決を調べることで行政運用の実態検証が可能になる。本書は2006年度以降約400件の裁決の分析を踏まえ、あるべき生活保護運用についての提案を行う。
第1部 生活保護審査請求制度の現状と課題
第1章 生活保護審査請求の現状と課題
 第1節 生活保護審査請求の制度的意義    第2節 審査請求制度の現状
第2章 改正行政不服審査法施行後の生活保護審査請求と裁決
 第1節 改正行政不服審査法の概要      
 第2節 生活保護における行政不服審査会等の状況(その1)-行政不服審査会の答申状況(生活保護)
 第3節 生活保護における行政不服審査会等の状況(その2)-行政不服審査会答申等の事例検討
 第4節 小括
第2部 主要争点別の行政運用、判例、裁決の状況
第3章 保護の申請
 第1節 問題の所在       第2節 行政運用  第3節 判例  第4節 裁決
 第5節 争訟例を踏まえたあるべき行政運用
第4章 自動車
第5章 稼働能力
第6章 扶養
第7章 世帯単位
第8章 指導指示
第9章 費用返還(法63条)
第10章 不正受給(法78条)

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