守口学童保育(共立メンテナンス)事件で不当労働行為を認める中労委命令(2021.4.26)

当たり前だけど、うれしい中労委の完全勝利命令
                       川西玲子(Asu-net 副代表)

 守口市は長い間、市直営で学童保育事業を行ってきていましたが、2018年に民間委託し、2019年4月には共立メンテナンスとの新たな雇用関係がスタートしました。労働組合はよりよい保育を目指すため団体交渉の申し入れを行いましたが、会社はかたくなに団交を拒否する異常事態となりました。
 2019年9月には労働組合は大阪府労働委員会に不当労働行為救済命令申し立てを行いました。2020年4月20日付で、会社に対して団交応諾、文書の手交、掲示の命令が出されましたが、会社はこれを不服として、再審査の申立てを行いました。
 これに対して2021年4月26日、中央労働委員会は、共立メンテナンスの主張をすべて退け、再審査申し立てを棄却しました。組合の主張が全面的に認められたのです。
 「共立メンテナンス」は東大阪市の学童保育の受託でも団交拒否を繰り返してきた、労働組合嫌悪の確信犯と言っても過言でない会社です。
 学童保育の業務は、子どもの安全と発達を担う高い専門性と経験が求められます。守口市は業務の発注主として、このような違法を繰り返す会社への委託はすぐに再考し、市民への責任を果たすべきだと思います。
 さらに2020年3月には、共立メンテナンスは真面目に子どもたちと向き合い、コロナの緊急事態にも必死で体制を作り、奮闘してきた7年から36年勤続のベテラン指導員ばかり13名を突然解雇しました。すぐに10名が裁判に立ち上がりました。
保護者や市民と一緒に「解雇撤回、すぐに職場に返せ」と3万6千人の署名を守口市長に提出しています。今回の中労委の命令を力にして、引き続き職場復帰するまでのご支援をどうかよろしくお願いします。

中労委命令(2021.4.26)

令和3年4月27日
【照会先】            
第二部会担当審査総括室  
  室長 井口真嘉      
(直通電話)03-5403-2164
(代表電話)03-5403-2111

共立メンテナンス不当労働行為再審査事件(令和2年(不再)第22号)命令書交付について
https://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/dl/shiryou-03-0427-1.pdf

 中央労働委員会第二部会(部会長岩村正彦)は、令和3年4月26日、標記事件に関する命令書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
 命令の概要は、次のとおりです。

【命令のポイント】
~団体交渉の申入れに対し組合規約等の提出を求め、提出された組合規約に不備があるとして団体交渉に応じなかったことが不当労働行為に当たるとされた事案~
 組合規約に労働組合法の規定に適合しない点があり、組合が組合規約の補正について会社に教示を求めたことを踏まえても、これをもって団体交渉に応じない正当な理由とすることはできず、会社の対応は正当な理由のない団交拒否の不当労働行為に当たる。

Ⅰ 当事者
  再審査申立人
   株式会社共立メンテナンス(「会社」)(東京都千代田区)
  再審査被申立人
   守口市学童保育指導員労働組合(「組合」)(大阪府守口市)

Ⅱ 事案の概要
1 本件は、会社が、組合からの平成31年4月1日付け、令和元年5月23日付け及び同年7月25日付け要求書(以下、総称して「本件要求書」という。)に係る団体交渉(以下「団交」という。)申入れに対して応じなかったことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てがされた事件である。
2 初審大阪府労委は、会社に対し本件要求書に係る団交応諾並びに文書手交及び掲示を命じる旨の命令を交付した。会社は、これを不服として再審査を申し立てた。

Ⅲ 命令の概要
1 主文
  本件再審査申立てを棄却する。
2 判断の要旨
 (1) 組合は、労組法第2条及び第5条の要件を満たすかについて
 ア (ア) 団交申入れ時の組合規約(以下「当初組合規約」という。)によれば、組合は労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目中央労働委員会的として組織する団体(労組法第2条本文)といえ、使用者の利益を代表する者は含まれておらず、その後改正された組合規約(以下「改正後組合規約」という。)によっても上記の諸点に変わりはない。したがって、組合は労組法第2条の要件を満たす。
   (イ) 会社は、当初組合規約は労組法第5条第2項の要件を満たさない不備があり、当該規約により運営されている組合は労組法第2条が定める自主性要件を満たさない旨主張するが、当初組合規約は改正されている(下記イ(イ))ほか、労組法第5条第2項の要件を満たさない状態が直ちに同法第2条の要件をも満たさない状態になるものではない。
 また、会社は、組合は規約の補正について会社に教示を求めており、自主的運営をする意思があるとはいえない旨主張するが、組合が教示を求めた書面は全体として会社の対応を非難する内容となっており、会社から独立して自主的運営をする意思がないとは認められない。
 イ (ア) 改正後組合規約は、労組法第5条第2項各号所定の規定を含むものであって、組合は労組法第5条の要件を満たす。
   (イ) 会社は、当初組合規約が労組法第5条第2項の要件を満たさないとの不備を指摘するが、再審査結審時において当初組合規約は改正され、不備が全て是正された改正後組合規約となっている。
 また、会社は、改正後組合規約は改正手続において瑕疵があり、改正の決議は無効である旨主張するが、規約改正は労組法所定の手続にのっとって行われており、有効である。
 ウ 上記ア、イによれば、組合は、労組法第2条及び第5条の要件を満たす。
 (2) 本件要求書に係る団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否の不当労働行為に当たるかについて
 ア 会社は、当初組合規約に不備がある上に、組合は規約の補正について会社に教示を求める姿勢であったことから組合が自主性や民主性があるものとは認識できず、団交に応じることができなかったものであり、その対応には正当な理由があると主張する。
 しかし、当初組合規約には組合員の平等な権利等の民主的な規定があり、会社においても、組合が民主性を全く欠いていたとまでは認識していなかったものと認められる。また、組合が会社に教示を求めた書面の内容(上記⑴ア(イ))からすれば、組合に自主性があるものとは認識できなかったとの会社の主張は採用できない。
 したがって、会社の対応に正当な理由は認められない。
 イ 会社は、組合は団交申入れの時点において労組法第2条及び第5条の要件を満たさないのであるから、労働組合についての保護は一切及ばないのであって、会社の対応について不当労働行為は成立しないと主張する。
 しかし、組合が労組法第2条の要件を満たすことは上記⑴アのとおりであり、第5条の要件については、確かに団交申入れ時点の組合規約である当初組合規約は同条第2項の要件を欠いていたものの、その後、同項に適合する改正後組合規約に改正されているのであるから、会社の行為について不当労働行為は成立し得るのであって、会社の主張は採用できない。
 ウ 上記ア、イによれば、本件要求書に係る会社の対応は、正当な理由のない団交拒否の不当労働行為に当たる。

【参考】初審救済申立日 令和元年9月11日(大阪府労委令和元年(不)第30号)
    初審命令交付日 令和2年4月22日
    再審査申立日  令和2年4月28日

労働組合・弁護士の情報

関連ニュース

団交速やかに応じて 大阪・守口 学童労組 中労委決定受け会見(赤旗2021.4.28)     Click→記事

団交速やかに応じて 大阪・守口 学童労組 中労委決定受け会見(赤旗2021.4.28)

しんぶん赤旗 2021年4月28日【社会】

 大阪府守口市の学童保育不当労働行為事件をめぐり中央労働委員会が、共立メンテナンス側の主張を退け、再審査申し立てを棄却したことを受けて、大阪自治労連・守口学童指導員労組は27日、大阪市北区のグリーン会館で記者会見を開きました。
 中労委の決定により、2020年4月20日に大阪府労働委員会が出した救済命令、団体交渉応諾と謝罪文の手交・掲示および会社のホームページへの掲載が確定しました。
 中労委の命令書によると、(1)組合は労組法の要件(労働組合法第2条、第5条)を満たす(2)組合の要求書は義務的団交事項にあたる(3)団交申し入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否の不当労働行為にあたる―と判断しています。
 原告側の愛須勝也弁護士は「中労委は常識的な判断をしてくれた」とし、今回の命令の意義と影響について「大阪地裁における地位確認等請求訴訟の審理にも大きく影響するだろう。また、会社だけでなく実施主体である守口市にも責任ある態度が求められる」と話しました。
 原告団の水野直美団長は「自分たちは間違っていなかったと確信することができた。共立は速やかに団体交渉に応じてほしい」と語りました。
 共立メンテナンスは19年4月から児童クラブの運営を守口市から業務委託されていましたが、20年3月末、指導員13人を雇い止めにしました。

この記事を書いた人