名ばかり管理職の厚労省基準 連合反発「使用者に有利」

2008年9月29日 Asahi.com

厚生労働省が出した「名ばかり管理職」かどうかの判断基準を定めた通達をめぐり、日本労働弁護団と連合は29日、通達は限定的であるべき管理監督者の基準の緩和につながりかねないとして、撤回や見直しを要請した。 

名ばかり管理職は、十分な権限や賃金を与えられていないのに管理監督者とみなされ、残業代が出ない。今回の基準は飲食・小売業の店長らに限定し、「パートを雇う権限がない」「遅刻すると減給される」など、該当する場合は管理監督者ではないと認められる可能性が高い要素を示した。

これに対して、日本労働弁護団の小川英郎弁護士は「判例の大半では、管理監督者は経営幹部に近い人に限られる。通達ではそのハードルが下がっている」と批判。控訴審で係争中の日本マクドナルドの現役店長、高野広志さんは「通達を素人が読むと、この基準をクリアすれば管理監督者にあてはまると誤解を招く」と見直しを求めた。

連合も緊急集会で、「通達は職場に誤った、かつ、無用な混乱をもたらし、使用者側に有利なように利用されかねない」と指摘し、見直しを求めるアピールを採択した。

厚労省は「今回の通達は、決して管理監督者の判断基準を下げるものではない。誤解のないようしっかり広報していきたい」としている。

 

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