昨日、雇用調整助成金問題で厚労省とやり取りをしました。東大阪市にあるデンソーの下請企業であるケーブル工業は、昨年12月末に業績悪化を理由にパート労働者10人を解雇しました。そして、その直後、東大阪ハローワークに雇用調整助成金を申請しました。労働者を整理解雇した直後に、なんのチェックも無しに企業は雇用調整助成金を受け取ることが可能なのかを焦点に、大阪労働局と厚生労働省職業安定局雇用開発課とやり取りを行いました。結論は、くいさがりましたが申請の直前でも直後でも「全く問題はない」との回答でした。雇用調整助成金は雇用安定法の事業です、目的は「失業予防に努める事業主を支援する」としています。12月には「中小企業緊急雇用安定助成金」も創設され、1月だけで1万2640カ所、対象となる従業員は87万9614人にものぼっています。もちろんこの制度の活用とさらなる改善は必要ですが、ケーブル工業のように解雇回避努力をせず、労働者に整理解雇の4要件すら説明をしない企業に、支給することは大問題だと考えます。大阪労働局の雇用助成金窓口の担当者は、「なんら不都合はない、解雇された後に残っている労働者の失業を防ぐためにある」「助成金が振り込まれた翌日、解雇があってもこの制度の意味は失われない」と。頭に来て、厚生労働省職業安定局雇用開発課の担当者とやり取りしましたが、同じ回答でした。しかし、「言われるように解雇などを回避する努力がなされたかどうかを支給決定前に聞きただすべきだと考えるが、現在のシステムにはない、意見は聞きました」との返事。例えば3ヶ月間の間に労働者を解雇した事業所や解雇を予定する事業所については、決定前に「調査段階」で調査することなど、来週12日には大阪労働局に正式に要請する予定です。他にも、全国展開する派遣会社での「労働者代表選任書」「休業協定書」の改善、労働者代表の民主的選出、労働者代表の意見提出などの改善点もあります。雇用調整助成金の意義をふまえつつ、助成金による失業者づくりは許されません。
(大阪労連副議長 服部信一郎)