失業手当:復職訴訟中は延長なし (脇田先生が批判コメント)

 派遣切りや雇い止めになった失業者のために失業手当の給付期間を60日間延長する国の救済策が、解雇無効を求めて係争中の非正規労働者には適用されていないことが分かった。厚生労働省は「再就職活動中の人のための制度で、復職を求めて裁判を起こした人は対象外」としているが、専門家は「失業状態は一緒のはずで、区別には合理的理由がない」と批判している。
 失業手当の給付期間は雇用保険法で定められ、保険加入期間が5年未満の人(45歳未満)は90日分だが、3月31日に施行された改正法で、派遣切りで解雇されたり、同日以後に雇い止めされた労働者には3年間の暫定措置として、60日分延長できると規定。約5カ月間、手当が受けられることになった。
 しかし、大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市浪速区)では、3月31日に雇い止めされた期間工数百人のうち、正社員としての雇用継続を求めて提訴した日系人ら24人が延長制度の適用を受けられないと、ハローワークの窓口で告げられた。9月まで受給できる人が7月までに打ち切られる見通しで、原告の1人は「90日と150日では大きく違う」と話している。
 厚労省によると、通達に基づき係争中の労働者が受給しているのは、復職できれば返還することを条件にした「仮給付(条件付給付)」。しかし、延長については「復職を求めている人と再就職は違う」としている。雇用保険に詳しい脇田滋・龍谷大教授(労働法)は「訴訟した人への見せしめとしか思えない」としている。 毎日新聞 【日野行介】

 

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