《橋下大阪市長が市職員の政治活動を禁じ、懲戒処分とする条例づくりを強行しようとしている
ことに対して、「大阪革新懇」が緊急声明を発表しましたのでここに掲載します。》
橋下市長は20日、大阪市職員の政治活動を勤務時間の内外を問わずに実質禁止する条例案をつくろうとして、政治活動をした職員を原則、懲戒免職とする規定を盛り込む方針を決めました。
橋下市長は当初、懲役2年以下などの罰則を検討していましたが、政府が地方公務員法に「違反する」との見解を示したため、懲戒免職規定を盛り込むことを表明したもので、7月の臨時市議会に提案するとしています。
大阪革新懇は、民主主義と憲法、人権を擁護し、政治の革新、統一への探求めざして対話と共同をすすめている政治運動団体として、大阪市職員の公務外を含む政治活動禁止を内容とする条例づくりに断固反対することを表明します。
地方公務員の選挙活動・政治活動の自由は憲法で保障された権利です。憲法第21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と明記し、この憲法上の保障は、すべての国民に等しく及び、地方公務員も例外ではありません。判例においても「政治活動の自由は、自由民主主義国家における最も重要な基本原理をなし、国民各自につきその基本的な権利のひとつとして尊重されなければならない」ことを認めています。2008年には国連の自由権規約委員会からも公務員の政治活動を規制する日本の人権状況に対して懸念が表明されています。
大阪革新懇は、大阪市の「職員基本条例」で、政治活動をした場合は停職か減給にすると定めていること自体を問題にしてきましたが、今回さらに公務外の政治活動までも禁止しようとするのは、憲法の国民主権の原理に直結した国民の重要な権利を侵害し、憲法が保障する表現の自由の根幹を蹂躙するものです。
その狙いは、懲戒処分で職員を脅し、表現の自由や政治活動を萎縮させ、職員大リストラの抵抗を封じ込めつつ橋下市長言いなりの職員づくりをすすめるもので、恐怖政治体制づくりそのものです。大阪維新の会が7月に発表する「維新八策」にも、地方公務員法に懲役2年以下とするような厳罰規定を盛り込むとしています。
1万人規模の市職員削減などともかかわって、市民から公務員を遠ざけることは、その社会的生活感覚を狂わせ、市民の政治活動や運動にも影響を広げることになることは間違いありません。
橋下市長が強行を企てる「条例案」は、明確な憲法違反、違法なものであり、一自治体の問題にとどまらず、全国にも悪しき影響を及ぼしかねない重大な問題でます。「条例」づくりを撤回するとともに、職員思想調査や労働組合事務所取り上げなど、これまで繰り返されて来た不正・違法行為を止め、市民と市職員、職員団体に対し謝罪することを強く求めます。
2012年6月21日
進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)