国家戦略特区:推進体制、固まる 諮問会議を設置

毎日新聞 2013年10月21日

国家戦略特区に関する組織(図省略)

 首相主導で地域を絞って規制改革を実施する「国家戦略特区」の推進体制が21日、固まった。特区の地域選定と、そこで導入する規制改革メニューを決定するため「特区諮問会議」を設置。関係省庁の抵抗で政府の意思決定が遅れることのないよう、規制を所管する閣僚は会議の正規メンバーとせず、必要に応じて意見を聞くにとどめる。また、特区ごとに詳細な事業計画を作成する「統合推進本部」を設け、中央と地域の2段構えで規制改革を進める。

 政府は18日、医療▽雇用▽教育▽都市再生・まちづくり▽農業▽歴史的建築物の活用−−の6分野で、特区で導入する規制緩和のメニューを決定。国家戦略特区関連法案を11月上旬に閣議決定し、今国会での成立を目指す。東京、大阪など大都市を中心に「来年、全国で3〜5カ所程度を指定する」(菅義偉官房長官)見通しだ。

 関連法案の骨子段階では、特区を指定する基準などを盛り込んだ基本方針を定めるため、首相と全閣僚からなる「国家戦略特区推進本部」を設ける方向になっていた。しかし、菅氏は21日の記者会見で「首相を中心として強力なリーダーシップを発揮できる体制にしたい」と述べ、首相、官房長官、経済財政担当相、特区担当相らにメンバーを限定した諮問会議とする考えを示した。民間有識者を加えることも検討しているが、関係閣僚は会議の意思決定に関与させない方針だ。

 一方、諮問会議の方針に基づいて具体的な事業計画を練る統合推進本部は、首相、特区担当相、関係自治体の長、民間事業者で構成。関係閣僚は同本部の正規メンバーからも外れる。安倍晋三首相は21日の衆院予算委員会で「関係閣僚には(同本部で)意見を述べる機会は与えるが、意思決定には加えない方向で検討している」と明言した。

 政府が法案作成の最終段階で方針転換したのは、今回、雇用や農業分野で狙い通りの規制改革メニューを盛り込めなかったことが背景にある。首相は予算委で「安倍内閣には『抵抗大臣』は存在しない」と強調したが、国家戦略特区を成長戦略の柱と位置付け、業界団体などの抵抗が強い「岩盤規制」に切り込むと宣言しているだけに、関係省庁の関与を薄める必要に迫られたとみられる。【念佛明奈】

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