東京新聞 2013年12月29日
写真:講演会で都知事選への立候補を表明する宇都宮健児氏=28日午後、東京都文京区の文京区民センターで(坂本亜由理撮影、掲載省略)
東京都の猪瀬直樹前知事の辞職に伴う知事選(来年一月二十三日告示、二月九日投開票)で、前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏(67)は二十八日、都内で行った講演で「東京から国政を変える。安倍晋三政権の暴走にストップをかける」と述べ、無所属での立候補を表明した。今年七月の参院選で衆参のねじれが解消してから初の大型選挙。地方選ながら、安倍政権の是非を争点として強く打ち出した。
都知事選の出馬表明は宇都宮氏が初めて。石原慎太郎氏の辞職に伴う昨年十二月の前回選に続く挑戦となり、共産党と社民党が支援を検討する。
「安倍政権は軍国主義的傾向を強めている」。講演で宇都宮氏は強調し、特定秘密保護法の強行採決や靖国神社への参拝などを批判した。集団的自衛権の行使を容認する国家安全保障基本法案が来年、提出される可能性があることにも触れ「秘密保護法反対の運動を基本法反対に広げていくことが大事」と述べた。
原発問題では「都は東京電力の大株主。株主総会で柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉を提案する」と表明、脱原発に取り組む姿勢を見せた。政府が進める再稼働や輸出にも反対姿勢を明確にした。
一方、前回選で見直しを掲げた二〇二〇年東京五輪は、大規模開発をせずに開催することを提案。「安倍政権が続けば開けない」と話し、靖国参拝による中国や韓国との緊張が、平和と友好の祭典の支障になるとの考えを示した。猪瀬氏の五千万円授受問題では「辞職で許してはいけない」と、徹底追及する意向を明らかにした。
愛媛県出身で東大中退。弁護士として多重債務やオウム真理教事件の被害者救済に当たった。前回選では共産、社民党などの支援を受け九十六万票を獲得したが次点。