SankeiBiz 2014年9月5日
写真:4日、ロサンゼルスのマクドナルド前で賃上げを求めプラカードを掲げる人たち(ロイター)(省略)
【ワシントン=小雲規生】マクドナルドなどファストフード店で働く従業員らが4日、時給15ドル(約1580円)の実現を求めてストライキやデモを行い、全米約150都市で数千人が参加した。ファストフード企業の方は賃上げに否定的だが、米国の経済格差への注目を集めることで、最低賃金引き上げの流れが後押しされる可能性もある。
従業員らの活動は約200万人が加入するサービス従業員国際労働組合(SEIU)が支援。参加者はニューヨーク、ロサンゼルスなどでファストフード店の前で座り込みや道路の封鎖を行った。米メディアによると、全米で100人以上の逮捕者が出た。米国のファストフード店従業員の時給は平均約9ドルで、年収は約1万9千ドル程度。参加者は「懸命に働いてもこの収入では家族を養えない」との不満の声を上げている。
一方、企業側は時給は市場の水準などに応じて決めているとして、引き上げには否定的だ。保守系シンクタンク、ヘリテージ財団は同日、「時給が15ドルになれば、企業は商品価格を38%値上げせねばならず、利益は77%減る」との試算を発表した。
しかし最低賃金の10・10ドルへの引き上げを訴えてきたオバマ大統領は1日、演説でファストフード従業員の運動に触れ、「米国民が賃上げに値することは紛れもない事実」と支持。またシアトル市で5月に最低賃金を15ドルに引き上げる法律が成立するなど、企業への圧力は増している。
運動にはファストフード店の従業員同様、低賃金だと指摘される介護職員らも参加。米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ハロルド・マイヤーソン氏は、「2011年に格差是正を求めるデモ参加者がウォール街を占拠したときのような幅広い社会運動と見なせる」と指摘している。