毎日新聞 2014年09月26日
説明図(省略)
日立製作所は26日、国内の管理職を対象に、年功序列の要素を無くした賃金制度を10月から導入すると発表した。今後は、勤続年数や年齢に関わらず、ポストや成果に応じて月給が決まる。役割の大きさや業績への貢献成果を賃金に明確に連動させることで、若くても優秀な人材や、女性、外国人など多様な社員の意欲を高め、業績向上につなげる狙いだ。
対象は課長相当職以上の約1万1000人で、本社の社員数の約3分の1に当たる。日立の管理職の賃金は、勤続年数などに応じて決まる「職能給」が約7割、部長、課長など役職に応じて定額支給される「職位給」が残りの約3割。入社後は、勤続年数に応じて給料が上がる傾向にあった。新制度では、職能給と職位給を一本化した上で、年功の要素をなくす。管理職の等級も、現行の4段階から7段階に組み替え、これに成果を加味して賃金を決める。ポストが変わったり、成果を出したりして給料が上がる人もいれば、上がらない人も出るため、「総人件費は変わらない」という。
日立は2013年度に、グループ会社を含み世界で約5万ある課長級以上のポストを、職務や職責の大きさに応じて7段階に格付けしていた。これが、新賃金体系の等級になり、世界共通の基準で賃金を決められるようになる。同社は海外売上高比率を12年度の41%から、15年度に50%超に引き上げる目標を掲げる。世界で戦うには、世界共通の人事制度の構築が必要だと考えており、今後は国内外のグループ会社にも適用を広げる。【高橋直純】
【ことば】年功序列
勤続年数や年齢に応じて役職や賃金が上がる人事制度。終身雇用、企業別労働組合と並び日本型雇用の典型とされる。若い世代の給与水準を抑え、中高年以降に増やすことで、一つの企業で長年働く動機付けになる。一方で中途入社者にはなじまず、労働市場の硬直の要因にもなっている。1990年代以降、多くの企業で年功序列の比重を下げ、成果主義を導入するようになった。