毎日新聞 11月28日(金)20時28分配信
自殺した男性が上司の発言を書き留めたノート=福井市の福井弁護士会で、竹内望撮影
◇福井地裁が父親の主張を大筋で認め、上司は1人に
福井市の消防設備会社に勤務していた男性(当時19歳)が自殺したのは上司による暴言などパワーハラスメントが原因だとして、男性の父親が会社や当時の上司2人に約1億1000万円の賠償を求めた訴訟の判決が28日、福井地裁であった。樋口英明裁判官は、父親の主張を大筋で認め、会社と上司1人に計約7260万円の支払いを命じた。原告側の弁護士によると、未成年者へのパワハラと自殺との因果関係を認めた判決は全国初という。
判決によると、男性は高校卒業後の2010年4月、消防設備会社に入社した。直属の上司だった男性社員(31)から「辞めればいい」「死んでしまえばいい」などと繰り返し言われ、うつ病を発症。12月6日朝に自宅で首をつって自殺した。
男性は上司に指示され、「まずは直してみれば?その腐った考え方を」などの上司の発言をノートや手帳に記録していた。樋口裁判官はこのうち23の発言について「男性の人格を否定し、威迫するもの。典型的なパワハラといわざるを得ない」と指摘。会社に対しては使用者責任を負うとした。
男性の父親は「判決は息子の名誉に関わる当然の結果。人殺しされたに等しい」とのコメントを発表した。
会社側の弁護士は「上司が仕事の失敗などで叱っていたのは事実だが、パワハラには該当しない」と話し、控訴する意向を示した。【竹内望】