NHKニュース 2014年12月19日
国が、生活保護の支給額を段階的に減らしているのは、最低限度の生活を保障した憲法に違反するとして、大阪府内の生活保護の受給者51人が、国や自治体に減額の取り消しと賠償を求める訴えを起こしました。
大阪地方裁判所に訴えを起こしたのは、大阪市や枚方市など、大阪府内で生活保護を受けて暮らしている30代から80代の51人です。
訴えによりますと、国が、去年8月から、段階的に最大10%の生活保護の支給額の引き下げを進めていることは、健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法に違反しているとして、大阪市など13の自治体に減額の取り消しを求めるとともに国に1人あたり1万円の賠償を求めています。
脳性まひのため、車いすで生活している原告の角南広子さんは「1人暮らしの障害者が、生活保護の枠内で借りられる家は本当に少ない。国は消費税を増税して、福祉制度を充実すると言っていたはすだ。生活保護の引き下げを許すわけにはいかない」とコメントしています。
弁護団によりますと、国などに生活保護の減額の取り消しを求める裁判は、これまでに16の道と県で起こされているということです。
厚生労働省は、「詳しい訴えの内容は分からないが、生活保護基準の減額は、有識者による部会の検証結果と過去の物価の動向をもとにしている。裁判で、減額が適正であることを訴えていきたい」としています。