残業代ゼロ、厚労省が骨子案 報告書まとめ国会提出へ

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朝日デジタル 2015年1月17日
 
 厚生労働省は16日、労働時間と賃金を切り離し、「残業代ゼロ」となる新しい制度などを盛り込んだ報告書の骨子案をまとめた。年収1075万円以上で高い職業能力を持つ人を対象とするが、対象となる業務については今後詰める。上級管理職以外の働き手を対象に労働時間の規制を外す初の制度となる。

 厚労省は近く報告書をまとめ、26日に始まる通常国会に労働基準法改正案を提出する見通しだ。労組側は「長時間労働を助長する」と反発している。

 骨子案は16日の労働政策審議会で示された。この制度は安倍政権が進める成長戦略の目玉の一つで、「時間で縛られない働き方を希望する働き手のニーズに応える」と位置づける。

 新制度は「高度プロフェッショナル労働制」。厚労省が高い専門知識を持つ労働者として定義する年収1075万円以上の労働者を対象とする。国税庁の2013年の統計では、年収1千万円を超える給与所得者は管理職を含め、全体の3・9%にあたる。

 骨子案では、対象となる業務として、金融商品の開発や為替ディーラー、アナリストなどが挙げられているが、具体的には法案成立後に省令で定める。労働時間の規制がなくなると働き過ぎが心配されるため、新制度を導入した企業に対し、終業から始業までの間に一定の休息時間を設けるインターバル規制や年104日以上の休日取得など、働き過ぎを防ぐ仕組みの導入も求めている。

 骨子案ではまた、あらかじめ労使で想定した労働時間に応じ賃金を払う裁量労働制の対象を、一部の営業職に広げることなども盛り込んだ。

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