関西電力 甘い労働時間管理 残業代未払い 02〜04年に続き

毎日新聞2017年3月31日

https://mainichi.jp/articles/20170331/ddn/008/020/035000c

 

関西電力は30日、昨年末までの2年間で全従業員の約6割に当たる約1万2900人に対し、計約16億9900万円の時間外労働の賃金を支払っていなかったと発表し、労働基準監督署に報告した。2002年から04年にも、全従業員の5割超の約1万1100人に対し、計約22億9700万円の時間外賃金の未払いが判明し、再発防止策を取ったはずだったが、機能していなかった。
 
 調査は、全事業所の全従業員約2万2400人が対象。昨年に自殺した管理職が過労死と認定され、労基署が勤務実態の調査や労働時間を適正化する対策を要求したため実施した。2年分の未払い額は1人平均約13万2000円。本店の管理部門の社員5人は、300万円(560時間分)を超えた。関電は4月20日に支払う。
 
 02年から04年の事例では、関電は労基署から是正勧告を受けて調査を実施。残業の一部を申告しないケースが相次いで判明した。再発防止策として、社員の自己申告に任せずに、管理職がチェックして勤務時間を管理する仕組みに変えた。だが今回の調査では、タイムカードで退社したとされた時刻後にパソコンでメール送信していたことが確認されるなど、労働時間の管理が甘いままだったと判明した。

 

関電は「従業員側は正確に申告する意識を徹底できず、管理職側は詳細なチェックをできていなかった。正確な労働時間把握が重要との意識を強化し、再発を防止したい」と説明する。
 立派な仕組みを作っても、職場が残業時間を申告しにくい雰囲気だったり、上司の認識が甘かったりすれば実効性はない。「3度目はない」との意識が、経営トップ以下全社的に徹底できるかが問われる。【宇都宮裕一

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