集会宣言 労働時間規制の根幹を覆す「高度プロフェッショナル制度」に反対します

 集会宣言 労働時間規制の根幹を覆す「高度プロフェッショナル制度」に反対します

1 ホワイトカラー・エグゼンプション法案の焼き直し
 厚生労働省労働政策審議会は、本年2月17日、?働き過ぎ防止のための法制度の整備、?フレックスタイム制の見直し、?裁量労働制の見直し、?高度プロフェッショナル制度の創設などを盛り込んだ報告書を労働者側の反対を押し切ってとりまとめ、厚労大臣に建議しました。
 このうち?は労働基準法の時間規制を外し、残業代の支払義務を免除する制度です。これが通ると、使用者は、一定範囲の正社員を対象に、時間外・休日・深夜の別なく、労働者を無制限に働かせることができるようになります。これは第一次安倍内閣のときに「残業ただ働き法案」として世論の総反発を受け国会提出が見送られたホワイトカラー・エグゼンプション法案の焼き直しにほかなりません。
 なお?で労働側が求めた残業の上限規制や勤務間インターバル休息制度の導入は、使用者側の反対で否定されています。

2 導入されるのは成果賃金制度ではなく固定賃金制度
 新しい労働時間制度は時間ではなく成果で支払うと言われていますが、今回導入されようとしているのは、成果主義賃金とは別物の固定賃金制です。時間内と時間外が区別され超過時間数に応じて一定の割増率で残業代を支払う現在の時間賃金制を否定して、時間に関係なくあらかじめ決められた額しか支給しない固定賃金制に変えるものです。

3 通ればすぐに対象業務は拡大される
 対象業務には金融商品の開発業務、ディーラー・アナリスト・コンサルタントの業務、研究開発業務などが例示されており、過労死等が多発しているIT産業のSEなども対象になると言われています。しかし、通れば専門業務や企画業務にとどまらず、営業職や事務職にも拡大されると考えられます。 

4 年収要件もすぐに800万円、さらには400万円に
 年収1075万円以上という要件は「一部の高所得者だけが対象」という印象を与えますが、日本経団連は以前のホワイトカラー・エグゼンプションの提言では、年収400万円以上の労働者を対象にすると想定していました。いったん制定されれば、年収要件が引き下げられていくことは必定です。

5 歯止めのない長時間労働と健康悪化の恐れ
 労政審の建議は、新制度が労働者の健康破壊を招く心配を否定できないために、新たに「健康管理時間」に関する「選択的措置」を講ずると言っています。しかし、その具体的時間等は明示されておらず、制定後に省令で決めることになっています。年次有給休暇や祝日は示された休日日数に含まれていません。健康管理のための医師の面接指導は、いまでいう「残業」が月100時間を超えた場合に受けるようにするというのですから、まさしく過労死ラインの超長時間労働を容認するものです。

6 働き盛りの30代、40代に過労死が激増
 厚労省の労災補償状況に関する資料によると、エグゼンプションの対象とされる高度専門業務(専門的・技術的職業と管理的職業)は過労死・過労自殺が最も多発している職業です。1075万円以上の年収所得者は過労死等の多い年齢層とぴったり重なっています。その点で、今回の法案は、業務から見ても年収から見ても、過労死のリスクの高い人々を狙い撃ちにしていると言えます。そういう過労死促進法を許してはなりません。

 本日「ストップ!エグゼンプション2.25緊急集会」に集まった私たちは、働く者のいのちと健康を護る立場から、労基法の根幹を破壊する「高度プロフェッショナル制度」に強く反対するものです。過労死はあってはならないという声が広がって、昨年6月に過労死防止法が成立し、すでに施行されています。私たちは同法にもとづいて「過労死ゼロ」に向けて過労死防止対策を推進するためにも、「残業代ゼロ制度」を断固として阻止することをここに宣言します。

                ストップ!エグゼンプション2.25緊急集会参加者一同
                                                           2015年2月25日
 

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