毎日新聞 2018年1月27日 大阪朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180127/ddn/002/010/044000c
安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党代表質問は26日、衆参両院で計3日間の日程を終えた。首相が「最大の焦点」と位置づける働き方改革関連法案を巡り、与野党が論戦を交わした。野党は、法案の残業時間の上限規制が不十分だと一斉に批判。一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入などにも反対した。これに対し、首相は長時間労働の是正や改革の意義などを強調した。
「労働時間の上限規制は待ったなしだが、なぜ上限を月100時間までとするのか。政府案は『過労死の合法化』ではないか」
26日、参院本会議で質問に立った共産党の小池晃・書記局長は、強い口調で政府を批判した。
政府案は、時間外労働を取り決めた労使協定(36協定)で定める残業の上限を最長で「月100時間未満、年720時間」とする内容。「過労死ライン」とされる「(疾患などの)発症前1カ月間の残業が100時間超」などの水準に近いとして、根強い批判がある。野党各党は「過労死容認法案になりかねない」(立憲民主党・枝野幸男代表)などと規制強化を訴えた。
これに対し、安倍首相は26日も答弁で「史上初めて、36協定でも超えてはならない罰則的な限度を設ける。規制強化で、過労死の合法化との批判は全く当たらない」と反論した。
野党は、金融ディーラーなど年収1075万円以上の一部専門職を労働時間規制の対象から除外する「高プロ」導入▽裁量労働制の対象を一部法人営業職にまで拡大−−といった規制緩和にも反発。代表質問では「労働者のためでなく、人件費削減の観点から導入されようとしている」(希望の党・玉木雄一郎代表)といった声が相次いだ。規制強化と規制緩和の双方を含む8種類の労働法規が関連法案として一つにまとめられていることにも、野党の批判が集まった。【光田宗義】