朝日新聞 大阪国独立!?(3)労働大臣に中嶌聡さん

「朝日新聞」2012年1月5日

なかじま・あきら 1983年茨木市生まれ。派遣会社員を経て2009年から地域労組おおさか青年部(組合員約100人)書記長。団体交渉の先頭に立つ。

  (3)労働大臣 中嶌 聡さん

 ◎公約 サービス残業を撲滅し「平日デート」を実現します 

 ――外資系人材派遣会社を2年3カ月で退社して労働組合の専従になりました 

 会社の待遇に不満はなかったんですが、不安定な雇用を生み出す手伝いをしているだけでは、と疑問に思っていました。そのころ、牛丼店のアルバイト従業員が労組に入り、未払い残業代を勝ち取ったという話を知りました。労組といえばメーデーにデモをする印象しかなかったんですが「労働運動なら社会を変えられるんじゃないか」と思ったんです。 

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 相談に来る同世代の若者の多くは労働法に詳しくありません。どうやったら伝えられるかを考えた結果、携帯があれば30秒でチェックできるメルマガがいいんじゃないかと。残業代の未払いなど実際にあった相談に回答するパターンが多く、弁護士と共同で毎日1300人余に配信しています。 

 ――なぜサービス残業はなくならないのでしょうか 

 20代の飲食店店長は1カ月の残業時間が200時間。残業代は80時間分しか払われていないのに、朝から晩まで働き、午後9時過ぎから連日事務所に呼ばれて「売り上げが低い」と責められていた。 

 違法なサービス残業を前提にしたビジネスモデルとしか思えない例が多々あります。企業側は単純にもうかるからとサービス残業を要求し、従業員側は景気の良くない今、目の前の仕事を失いたくないと我慢している。 

 ――どうやってサービス残業をなくしますか 

 日本国の労働基準法でももっと法律違反を摘発できるはずですが、徹底されていない。飲酒運転を厳罰化しても、検問をしなければ意味がないのと同じ。大阪国では監視態勢を大幅に強化し、違反した企業の刑事告発や名前の公表などを徹底します。 

 同時に、残業する側の意識も変わらないといけない。大阪人はもともとケチな国民性だったはず。タダで残業するなんてお人よし過ぎます。かけ声だけでなく実際に厳しく取り締まることで「何を言っても変わらない」とあきらめている人々の意識を変えたい。 

 日本生産性本部が2010年に実施した新入社員アンケートで「デートの約束があっても命じられれば残業する」と答えた人が85%もいた。デートは消費拡大の絶好のチャンス。平日に若者がデートし、家族がそろって夕食を食べるのが当たり前な国を目指します。 

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 サービス残業 

 賃金を支払わずに時間外労働させれば、労働基準法違反となる。2010年度に大阪労働局の指導を受けて100万円以上の不払い残業代を支払った府内の会社は157社。合計額は約13億円にのぼる。

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