「内部留保のほんの一部を使えば、賃上げは可能だ」―。日本共産党の笠井亮議員は8日の衆院予算委員会で基本的質疑に立ち、“企業の収益が上がれば賃金もやがて上がる”という「アベノミクス」の論拠を突き崩して、働く人の所得を増やすことこそ必要だと強調しました。
(論戦ハイライト)
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衆院予算委 基本的質疑
笠井氏は、働く人の平均給与年額が1997年をピークに66万円も減る一方、企業の経常利益は1・6倍に跳ね上がり、内部留保、株主配当も急増していることを指摘。「企業の収益が上がっても働く人の所得につながっていないではないか」と強調しました。
麻生太郎副総理は「企業の巨大な内部留保になっている」「企業マインドが一番問題」と答弁。安倍晋三首相も「金利が上がってキャッシュ(現金)を持ちたい、それが内部留保になっている」と認めました。
笠井氏は、働く人の所得減の原因は企業の賃下げとリストラにあると指摘。経団連が“物価が下がっているから、働く人の所得をもっと下げていい”との理屈まで持ち出して「賃下げ宣言」をしていることをあげ、「この財界の姿勢はおかしいと思わないのか」と追及しました。
安倍首相は、「経営者に“収益が上がれば賃上げ要請をする”という形で協力していただきたい」と答弁。一方で、経団連の姿勢については「いいとか、悪いとかコメントするつもりはない」と述べました。
笠井氏は、大企業が260兆円も内部留保をため込んでいることをあげ、「賃上げの原資はすでにある」と強調。その1%程度を使うだけで8割の企業、7割の従業員に月額1万円以上の賃上げができることを示しました。
麻生氏は「(賃上げ)できる条件に企業側があることはたしかだ」と認めました。笠井氏は、(1)労働者派遣法改正で正規雇用を原則に(2)最低賃金を1000円以上に引き上げ(3)公正取引、適正な下請け・納入単価の実現―の、人間らしいくらしを保障するための三つの具体策を提示。「それぞれの会社が労働者や下請けの給料を上げるために内部留保を使うよう政治がルールをつくることこそ大切だ」と強調しました。
(下の図表は2月10日付「しんぶん赤旗」の詳報から)