2月26日、インターネット検索大手の米ヤフーが、6月から在宅勤務を禁止する方針であることが明らかになり、在宅勤務の是非をめぐる議論を呼び起こしている。
[ロンドン 26日 ロイター] インターネット検索大手の米ヤフー[YHOO.O]が、6月から在宅勤務を禁止する方針であることが明らかになり、在宅勤務の是非をめぐる議論を呼び起こしている。
高速インターネットの普及などで在宅勤務は特に育児世帯などで広がりを見せつつあり、米労働統計局によると、2010年時点ではフルタイム雇用者の約25%が何らかの形で在宅勤務していた。
また、英産業連盟(CBI)の2011年の調査では、在宅勤務の仕組みを用意している企業は全体の59%と、2006年の13%から大きく増えた。
しかし、ヤフーのマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)は、6月以降は在宅勤務を認めない方針を打ち出したという。複数の新聞サイトなどが26日伝えた同社の内部メモは「最善の決断や考えは、社内の通路や食堂での会話からもたらされることがある」と指摘。「在宅勤務ではスピードと質が犠牲になりやすい」としている。メモは人事部門トップの名前で社員に送られた。
同メモについて、ヤフーの広報担当者は社内の事情についてはコメントを差し控えると述べた。
メイヤーCEOの方針に対し、在宅勤務支持派からは反発の声が上がっており、ワーキング・マザー誌電子版の広報担当者は「ものすごく失望した」とコメント。「彼女の計画は従業員を前世紀に戻すことになる」と厳しく批判した。
また、英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長はブログで「在宅勤務の利便性とその効果を考えると、時代に逆行しているように見える」と指摘。「勤務形態のバランスを取るなどすれば、仕事に対する意欲が向上する」と在宅勤務禁止に否定的な見方を示した。
一方、米マイクロソフトの委託で欧州15カ国で実施された2011年の調査によると、在宅勤務の同僚が生産的な仕事をしていると信用するという人は、回答者1500人のわずか52%。これを裏付けるかのように、匿名のヤフー元社員らが技術系ブログ「ビジネス・インサイダー」に語ったところによると、在宅勤務者の多くが仕事をさぼっており、多くの時間を職務以外のことに費やしているとし、メイヤーCEOの決断を支持している。