パナソニックが賞与2割カットへ 25年夏冬、基本給も初の実質切り下げ

SankeiBiz 2013年3月21日

 パナソニックが平成25年の従業員の賞与(ボーナス)を2割カットし、基本給(賃金)も実質的に数%切り下げる方向で労組側と協議に入ったことが20日、わかった。実施期間は1年の見通しだが、賞与が2割カットされれば、今春闘で妥結した「賃金4カ月分の確保」を維持できない可能性がある。組合員の賃金カットは初めてとみられる。

 パナソニックは13日に妥結した今春闘で、定期昇給を維持。賞与は賃金4カ月分を確保したうえで、業績連動部分を反映させることで合意した。しかし、業績不振で人件費削減が求められるなか、25年夏と冬の賞与を前年比で2割削減する方向で協議を始めた。

 パナソニックの賞与は事業部門(ドメイン)ごとの業績で決まる。ドメインの業績が良ければ増えるが、悪ければ最低ラインとなる。同社は25年3月期に2年連続で7千億円を超える最終赤字が見込まれ、26年3月期の業績も不透明。全般的に業績が悪ければ業績連動部分が減り、「2割カット」で平均でも4カ月分を切る可能性が出てくる。

 また、定昇を維持したうえで、25年5月から所定労働時間を延ばし、基本給を実質的に数%切り下げる方向でも協議。期間は1年とし、残業代や出張旅費も減額する方針だ。

 これらにより、25年度の人件費は数百億円規模で削減できる見込み。すでに役員報酬の40〜20%返上や管理職の冬季賞与の35%カットなどを実施しており、さらなる削減で収益基盤を強化する。

 「賞与の賃金4カ月分」は電機連合が掲げる統一闘争の最低水準。同水準割れが1年で終わらなければ、26年春闘でパナソニックグループ労連が電機連合の統一闘争から離脱する可能性もある。25年春闘ではシャープの労組などが離脱していた。

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