車所有者の生活保護 認める判決

NHKニュース 4月19日

大阪・枚方市の障害のある女性が、自動車を所有していることを理由に、生活保護を一時、支給されなかったのは不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「車がないと病院に通うのが難しいのに、自治体の検討が不十分だった」として、枚方市に170万円余りの賠償を命じました。

大阪・枚方市の佐藤キヨ子さん(73)は足が不自由で、7年前に生活保護を受け始めましたが、自動車を所有していることを理由に、平成19年から2年間にわたって市から生活保護の支給を打ち切られました。
厚生労働省の通知では、生活保護を受ける障害者が車を所有できる要件として、病院に通うために必要であることなどが示されていて、佐藤さんが枚方市に賠償などを求めた裁判では、この要件を満たすかどうかが争点になりました。
19日の判決で、大阪地方裁判所の山田明裁判長は、「佐藤さんの場合、タクシーの利用は経済的に合理的と言えず、自分の車以外での通院が難しい。車の所有要件を満たすのに市は十分に検討しなかった」と述べ、枚方市に対し、打ち切った生活保護費に慰謝料を加えた170万円余りの賠償などを命じました。
また、裁判で枚方市が、「買い物など通院以外の車の利用は認められない」と主張したのに対し、裁判長は「日常生活に車を利用することは、自立を手助けする観点からむしろ認められるべきだ」と指摘し、自治体に弾力的な運用を促しました。
判決について佐藤キヨ子さんは、「主張が認められ本当にうれしい。同じような境遇の人への希望になればと思います」と話しています。
判決について枚方市は、「内容を精査し、関係機関と協議をしたうえで対応を検討したい」としています

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