朝日社説 育休3年─当然、男性もですよね

朝日新聞 2013/04/25

  安倍晋三さま。先日の記者会見で、成長戦略の柱の一つに「女性の活用」をあげられたことに感銘を受けました。

 5年後の「保育所・待機児童ゼロ」を目指すとのこと。「保活」の心配がなくなれば、若い世代も安心して働きながら子どもを産み育てられるでしょう。

 自民党が、ついに「男は外で仕事、女は家で子育てすべし」という考え方と決別したと理解していいでしょうか。

 驚いたのは、「3年育休」です。3年休めるうえ、仕事に本格復帰する前に大学や専門学校などで「学び直し」ができるよう支援すると。

 1年未満で契約を更新し、いつ雇い止めになるか不安な有期雇用の非正規社員も多いなか、「どこの国のことか」とも思いましたが、恵まれた正社員でなくても育休3年を可能にする秘策があると見ました。

 共働きで何とか生活を成り立たせている家庭が少なくないなか、一人が休んでいる間の金銭的な保障も、確固たる財源の裏付けとともにいずれ打ち出されることを期待します。

 ただ、心配もあります。「育休推進」が、まさか「休んで子育てするのは女性」という前提ではないですよね。

 首相自ら「3歳になるまでは男女が共に子育てに専念」とおっしゃる通り、男性を子育てに巻き込まないと、本当の女性活用にはならないし、経済の活性化もおぼつかないでしょう。

 そこで提案があります。男性の育休取得をもっと強力に推進するのです。

 女性の育休取得率は、すでに9割に迫ります。一方、男性の方は、ようやく2・6%。そのうち6割強は「2週間未満」しか休みません。

 育児休業は子どもが少なくとも1歳になるまで取れますが、父母ともに取得する場合、1歳2カ月までの延長を雇用主に義務づける「パパ・ママ育休プラス」が実施されています。

 ここを大きく進めて、スウェーデンのように、男性しかとれない育休期間を60日設ける「パパ・クオータ制」の導入も検討してはいかがでしょうか。

 女性が2人目の子どもを産むかどうかは、夫の姿勢がカギを握ります。厚生労働省の調査によれば、第2子以降が生まれる割合は、夫が休日にまったく家事・育児に参加しない家庭で約1割ですが、6時間以上だと7割近くになります。

 男女ともに能力を最大限に活用しながら「抱っこし放題」の時間も持てる。そんな社会を目指すなら大歓迎です。

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