賃上げ、大企業は基本給引き上げより一時金対応が主流 中小企業はほぼ同数

SankeiBiz 2013.9.17

 日本生命保険は17日、日銀が4月に導入した大規模緩和策後の物価と賃金に対する企業の対応についての調査結果を発表した。

 賃金の現状について、全産業では「前年同水準」が70.7%と最多だったが、賃金上昇の内訳では、「一時金が増加」が15.7%、「基本給引き上げ」が12.5%と分かれた。これが中小企業では一時金の増加が14.1%、基本給引き上げが15%とほぼ同数となったが、大企業では一時金増加が19.8%、基本給引き上げは5.9%にとどまった。

 今後1年間の賃金の方向性についても、「基本給の引き上げを視野」と回答した大企業は4.8%で、中小企業の14.3%を大きく下回った。

 調査結果を分析したニッセイ基礎研究所の櫨(はじ)浩一専務理事は「大企業は非製造業が多い中小企業に比べ、一度賃金を上げると(雇用)調整が難しい」と指摘。「今後物価が上がればその分賃金も上がるだろう」と予測する。

 賃上げを実施するための必要な条件(2つまで複数回答)については、「収益の改善」が全産業で79.3%あった。以下、「財務体質の改善」(28.6%)、「法人減税」(12.8%)と続いた。

 最も効果的なデフレ脱却策については、「適正な為替水準の維持」と「法人減税」がともに全産業で14.9%と最も高かった。このほかは「金融緩和」(14.7%)、「規制緩和」(12.4%)が挙がった。

 調査は8月に実施し、4772社が回答した。

この記事を書いた人