たまった雨水 17万ベクレル 福島第1タンク群の域内 ストロンチウム

しんぶん赤旗 2013/9/17

 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)でタンクから大量の放射能汚染水が漏れた問題で、東電は16日、台風18号の接近に伴う豪雨の影響で、漏れたタンクを設置した「H―4」エリア(区画)北側にたまった雨水(15日に採取)からストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質(全ベータ)が1リットル当たり17万ベクレル検出されたと発表しました。東電はせき内に残っていた放射性物質が雨水に混ざったのではないかとみています。

 同じエリアの東側で同2400ベクレル検出したほか、「H―3」「H―2」と呼ばれるタンクエリアのせき内でも、それぞれ同4600ベクレル、同3700ベクレル検出。「H―3」では3日、タンク底部で毎時2200ミリシーベルトの高線量が計測されていますが、「H―2」は高線量が計測されていませんでした。また、15日にたまっていた水がせき外にあふれていた別のタンクエリアの水を調べたところ、全ベータは1リットル当たり37ベクレルでした。東電は「H―4」のたまり水を15日夜までに周辺のタンクに移し終え、ほかの高線量箇所のたまり水も順次移す予定です。

北側井戸 17万ベクレル トリチウム

 東京電力は16日、福島第1原発で放射能汚染水が漏れたタンク北側約20メートルの場所に掘った観測用井戸で14日に採取した地下水から、これまでの最高となる1リットル当たり17万ベクレルのトリチウム(3重水素)が検出されたと発表しました。8日に採取した水と比べると約40倍に上昇。東電は漏れた汚染水の影響とみています。タンクに入っていたトリチウムの濃度は同二百数十万ベクレル。

 この井戸から約40メートル東の建屋側に近い場所に新しく掘った観測用井戸でも、15日に採取した地下水から、全ベータが1リットル当たり1300ベクレル検出。タンク北側の観測用井戸と同じレベルで、汚染が建屋側に広がっている可能性が出てきました。この井戸から建屋側に、地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」計画に使う12本の井戸があり、最も近い井戸とは距離が100メートルもありません。計画の見直しを迫られる可能性もあります。

 一方、漏れたタンクのそばを通り、直接外洋に通じている排水溝で、外洋から約150メートル上流で15日午後に採取した水から、全ベータを1リットル当たり280ベクレル検出し、前日より約4倍に上昇しました。また外洋への流出の恐れがあります。

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