厚労省 2013年11月7日
(第197回労働力需給制度部会 資料4)
1〜3 (略)
4 平成24 年改正法の規定について
平成24 年10 月施行の改正労働者派遣法に新たに盛り込まれた規定について、契約締結・職業選択・採用の自由といった根本原則や、他の労働規制とのバランスがとれたものになるように見直しを行うべきである。
(1)日雇派遣の原則禁止
日雇派遣(契約期間30 日以内)の原則禁止は、その濫用が不安定雇用とワーキングプアの増加を招くのではないかとの問題意識から設けられたものである。しかし、限られた期間・時間だけ働きたいと考える労働者がおり、短期間に労働者への需要が集中する業務もある。こうした状況の下で、日雇派遣を規制することは、むしろ就労マッチングや派遣元による雇用管理の有効性を損ない、他の形態(直接雇用等)の日雇を増加させているにすぎないとの指摘がある。
直接雇用の日雇契約等との整合性を考慮し、濫用的利用の防止を図りつつ、例外規定も含めた抜本的な見直しが必要である。
(2)労働契約の申込みみなし制度について
労働契約申込みみなし制度(一定の違法状態が発生した場合に、派遣先が派遣労働者に対して直接雇用の申込みをしたものとみなす制度。平成27 年10 月施行予定。)については、いわゆる請負と派遣の区分があまりに厳格なため、意図せずして違法に陥りやすいという問題がある中で施行された場合、過剰な「みなし」が行われるのではないかといった不安が指摘されている。
また、他の制度、例えば、有期労働契約の無期契約への転換制度(労働契約法18条)との整合性、報告書に記載された雇用安定措置との関係、契約締結の自由との関係も考慮すべきであり、廃止を含めた見直しが必要である。
(3)グループ企業派遣の8割規制
グループ企業派遣は、派遣労働者、派遣先、派遣元間での情報の共有が容易であるため、就労マッチングを高め、グループ内で有機的に労働者のキャリアを積み重ねることができるというメリットがある。また、期間の定めがない労働者の雇用を行う特定労働者派遣事業の観点からは、安定した派遣先の確保が不可欠であることも考慮すべきである。
派遣労働の濫用防止を図りつつ、8割という基準の妥当性を含め、規制の抜本的な見直しが必要である。
(4) マージン率等の情報提供
マージン率の明示義務については、マージン率の中に社会保険料や派遣労働者のキャリアアップのための派遣元負担費用なども含まれることから、比率の高さが必ずしも派遣労働者の低待遇を示すとは言えない。また、日本の他の産業で同様の公開を求めている事例もなく不公平であるという指摘がある。
これらを踏まえ、マージン率の明示義務については、派遣先労働者と派遣労働者の均衡処遇を推進しつつ、廃止すべきである。
(5) 1 年以内に離職した労働者への規制
直接雇用されていた労働者を派遣労働者で置き換えることで労働条件の切り下げが行われないように、離職後1年以内の者と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することが禁止された。しかし、このことは就業機会の喪失につながるケースもあるため、適切な例外を認めるべきである。