原発違法労働で是正勧告 10時間超東芝など18社に 福島第一

東京新聞 2013年12月13日

 東京電力福島第一原発で、労働基準法で上限とされる十時間を超える事故収束作業をさせていたとして、富岡労働基準監督署(福島県)が元請けの東芝(東京都港区)とその下請け企業計十八社に、同法違反で是正勧告を出したことが関係者への取材で分かった。

 この問題は今年十月の本紙報道で明らかになった。是正勧告を受けたのは東芝のほか、子会社の東芝プラントシステム(横浜市)など下請けの計十八社。

 関係者の話を総合すると、十八社は今年七〜十月半ばまでの間、福島第一の海側トレンチ(ケーブルなどを収める地下トンネル)の高濃度汚染水対策などで、作業員らに十時間を超える違法な労働をさせたとされる。

 原発での作業は被ばくを伴うため、労使が合意しても通常の八時間のほかは、二時間の残業しか認められていない。

 しかし、複数の作業員の証言によると、現場責任者らから、線量計に内蔵されたアラーム(九時間半に設定)が鳴る前に、いったん線量計を管理施設に返して原発を退出し、線量計を借り直して現場に戻るようにたびたび言われたという。

 東電による汚染水対策が進まないことを受け、国が税金を投入して対策に乗り出す姿勢を強めてからは、工程通りに作業を終わらせるよう、現場への圧力が強まった。作業員らは「国が、重要な設備だから早くしてくれと言っている」「今日明日で何とかしなくてはならない」と急がされ、残業するように求められたという。

 東芝と東芝プラントシステムは勧告の事実を認めた。担当者は「線量計の借り換えは(作業)時間をごまかすためではなかった。原発内の休憩所での打ち合わせや待機時間も労働時間に含まれると国に確認した後は改善した」と話した。

 発注者で、線量計を貸し出している東電は「元請けに線量計のデータを提供し、労務管理をしてもらっている。(違法な長時間労働は)把握していない」と答えた。

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