春闘: 業績好調大手銀、19年ぶりのベア検討

毎日新聞 2014年01月15日

 大手銀行が今春闘でベースアップ(ベア)の検討に入ったことが15日、分かった。メガバンクでは三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が労組からの正式な要求を踏まえて判断する方針。三井住友銀行もベアか一時金の増額で賃金引き上げを検討している。大手行でベアが実現すれば、1995年以来19年ぶり。

 大手行がベアを検討するのは、アベノミクス効果による株高や不良債権処理費用の減少で、業績が軒並み好調なことが背景にある。安倍政権が経済界に対し、デフレ脱却のために強い賃上げ要請を行っていることも踏まえて検討を進める。

 地銀では、全国地方銀行協会会長でもある福岡銀行の谷正明頭取が15日の記者会見で「福岡銀行として(ベアを)考えていないわけではない」と述べ、他の地銀や地元企業の動向、自行の業績などを踏まえて検討する意向を示した。

 金融界ではすでに、野村証券、大和証券グループ本社の証券大手2社とオリックスが4月から若手を中心に平均2〜3%程度給与水準の引き上げ方針を決めている。銀行界もベアに取り組むことで、賃上げ機運が高まりそうだ。

 大手行ではバブル崩壊後の不良債権処理をめぐり、政府から公的資金の投入を受けて経営を改善させた経緯があることから、経費増につながるベアには慎重だった。大手行では95年にベアを実施した後、97年からはベア要求そのものが見送られている。【工藤昭久】

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