SankeiBiz 2014.5.28
産業競争力会議であいさつする安倍首相(左から2人目)=28日夕、首相官邸(省略)
政府は28日、産業競争力会議を開き、多様な働き方を推進するための労働規制の見直しと女性の活躍推進について議論した。労働時間規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション」については、民間議員と厚生労働省がそれぞれ導入に向けた考え方を示した。政府は、調整を進め、6月に取りまとめる新成長戦略に考え方を反映させたい考えだ。
安倍晋三首相は「成果で評価される自由な働き方にふさわしい労働時間制度の新たな選択肢を示す必要がある」として、制度の詳細な設計を急ぐよう関係閣僚に指示した。
民間議員の長谷川閑史武田薬品工業社長が示した案では、労働時間規制の見直しの対象者は、一定の責任のある業務・職責を有するリーダーなどと定義。金融機関のファンドマネジャーやコンサルタントなどの専門職のほか、経営企画やブランド戦略などを担当する企業の管理職候補の正社員を挙げた。
長谷川氏が4月に提示した案では、年収1000万円以上の専門職と国が年間労働時間の上限を示した上で、対象に一般社員も含めるという2つの方式を示していたが、労働界からの懸念などに配慮し、内容を修正した。年収要件などは明記せず、本人の同意が前提としたうえで、一般事務や小売店などの販売職、入社間もない若手職員は見直しの対象外とすると明記した。
一方、厚労省が示した案は労働時間規制の見直しには同意したが、対象者は世界レベルの高度専門職のみに限定すると規定。民間議員が求めている企業の中核部門で働く社員については、すでに導入されている裁量労働制の中で新たな枠組みを構築するとした。ただ、制度の詳細は今後、厚労省の労働政策審議会で議論するとして具体的な言及は避けた。