毎日新聞 2014年08月26日
成果に応じて賃金を払い、残業の概念をなくす政府の「新しい労働時間制度」を巡り、過労死の遺族らが26日、制度を導入しないよう田村憲久厚生労働相や連合の古賀伸明会長などに申し入れた。古賀会長は「国民全体の運動として(新制度に)ノーを突きつけたい」と強い調子で応えた。
申し入れたのは「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表ら7家族や、日本労働弁護団など。新制度の導入中止のほか時間外労働の月ごとの上限規制なども求めた。
新制度は第1次安倍政権時代の2007年に浮上した「ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代ゼロ制度)とほぼ同内容。政府の成長戦略の一環で、年収1000万円以上の専門職は労働時間ではなく成果に応じた賃金とし、「1日8時間・週40時間」という労働時間規制から除外する。
小児科医だった中原さんの夫は長時間労働が原因で自ら命を絶った。「夫は年収1000万円以上だったので新制度の対象になる。年収がいくらだろうが、死ぬまで働かされるような制度は許されない」と訴えた。
古賀会長は「重要なのは労働時間規制の適用除外ではなく、規制を厳しくして過労死をなくすこと。スタンスは全くみなさんと一緒だ」と話した。【東海林智】