毎日新聞 2014年09月10日 19時27分(最終更新 09月10日 19時28分)
日立ビルシステム(東京都千代田区)の社員だった20代の男性(都内在住)が自殺したのは過重労働が原因だとして、厚木労働基準監督署(神奈川県厚木市)が労災認定していたことが10日、分かった。遺族の代理人弁護士が明らかにした。男性はエレベーターの保守、点検などを行うメンテナンスエンジニアとして勤務していた。代理人は「東日本大震災以降、エレベーターの保守点検の業務が増大している」と労災の背景を指摘している。
代理人の川人博弁護士などによると、男性は、高校を卒業後、同社厚木営業所で勤務。2013年1月から人手不足を理由に他の部署の応援業務を行っていた。同年3月は休みが週1日で、残業時間は約120時間に達し、寒さや肉体労働で疲弊した。4月に元の部署に戻ったが、仕事でミスなどもあり同月に自殺した。労基署は、仕事量の著しい増加や長時間労働が原因で精神疾患を発症したとして労災認定したという。川人弁護士は「震災以降仕事量が増大しているのに人員が追いついていない。若者に過重な労働が押しつけられている」と分析している。
遺族は「労災認定はわずかな慰めにはなっても、息子を失った悲しみは心に重くのしかかっている。従業員が健全に働ける社会に変わることを望みます」とコメントしている。
日立ビルシステム広報部は「決定の内容を確認した上で、会社として適正に対応したい」と話している。【東海林智】