私は生涯派遣なのか 「期間制限撤廃」改正案に不安

北海道新聞 2014年11月9日

 今国会の焦点となっている労働者派遣法改正案に、派遣で働く人たちから「正社員への道が閉ざされる」と不安の声が上がっている。派遣労働の期間制限を事実上撤廃し、同じ業務で継続して派遣を使えるようにする内容で、業務が派遣に固定化される恐れがあるからだ。政府は「正社員への転換を促すようにする」と説明するが、経済界の要望に沿った改正案には「企業の使い勝手がよくなるだけ」との批判も。専門家は「正社員から派遣への置き換えが進む恐れがある」と指摘する。

 「キャリアを重ねても、給料も待遇も同じまま」。20年以上派遣で情報入力の仕事をしている札幌市の女性(52)はため息をつく。現在の時給は900円ほどで、2008年のリーマン・ショック以降は交通費や燃料費も出なくなった。手取り月収は11万円前後だ。

 市内の会社で正社員として働いていたが、月60時間を超える残業で体調を崩し、派遣で働き始めた。だが、いつ契約が打ち切られるかわからない。「不安です。本当は正社員がいい。でも、派遣元は派遣先の言うなりで、待遇改善や正社員化を働きかけてくれたことはなかった」。

 厚生労働省の12年度の調査では、派遣労働者の6割が「正社員として働きたい」と回答。だが、同省の別の調査によると、派遣を受け入れている企業のうち、正社員への採用制度があるのは28%、過去1年間に実際に採用したのは5・8%にとどまる。

 北海道ウイメンズ・ユニオンの大野朋子委員長は「期間制限の撤廃は、現状でも狭い正社員への道をさらに狭める」と指摘。「撤廃がなぜ『正社員への転換を促す』ことになるのか」と憤る。<どうしん電子版に全文掲載>

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