2015年01月08日 共同通信
裁量労働制は対象者に働き方を委ねるのが前提で、企業は残業代の算定基準になる労 働時間を厳密に管理する必要がない。労働組合は「無制限な働かせ方を強いられかねな い」と批判、企業が正確に労働時間を把握するよう求めている。
厚生労働省の2013年の調査では、制度を導入している企業は約3%で、大手が多い。経済界は「働き方が多様化している」として、特に事務系を対象とした「企画業務型」の対象拡大を求めてきた。
厚労省は新たに提案型営業職を対象にすることについて「上司からの指示を受けなく ても仕事を自己完結できる人に限る」(同省幹部)としている。ただ、同省の調査では13年度、企画業務型の対象者のうち8・8%が平均で1日12時間を超えて働いていた。労組やNPOには、厳しいノルマに追われ心身の不調を訴える営業職から相談が寄せられることが少なくない。
企業には対象者の健康管理のため、勤務状況の把握が求められるが、自己申告で済ま せている企業もある。厚労省の労働政策審議会分科会で、労働側委員は「タイムカード の形で個人ごとの労働時間を正確に記録できるようにするべきだ」と強調。対象者に必ず休暇を取らせるなどの健康確保措置も求めている。