勇気ある女性賞: マタハラと闘う日本人 米政府なぜ注目

http://mainichi.jp/select/news/20150327k0000m040012000c.html
毎日新聞 2015年03月26日

ミシェル米大統領夫人や他の受賞者と記念撮影する小酒部さん(右から4人目)=小酒部さん提供(省略)   
      
 ◇男女平等の遅れ問題視 人権侵害との闘いにエール?

 小酒部さんは昨年7月、マタハラ被害に苦しむ女性たちをサポートする「マタハラNet」を結成した。

 自身もマタハラの被害者だ。深夜残業が日常の職場で契約社員だった。最初の妊娠で双子の赤ちゃんを流産した。半年後、再び妊娠した時、「今度こそ赤ちゃんを」と医師の指導に従い仕事を休んだ。しかし男性上司は家まで押しかけ「仕事と妊娠の両方を取るのは欲張り」と言い、出勤しないと契約更新しないと迫った。結局、出勤を余儀なくされた数日後、再び流産した。

 2度の流産が原因で卵巣機能不全と診断された小酒部さんに人事部長は「妊娠は9割あきらめろ」と言い放った。耐えられず、退職した。

 昨年6月、「マタハラで退職に追い込まれた」と労働審判に訴え、主張がほぼ認められる形で会社側と和解した。

 同Netには相談が次々寄せられる。妊娠が分かって以来、上司に「パートになれ」と言われ続けている人。就職してすぐ妊娠したら女性上司に「堕(お)ろさないなら退職してもらう」と脅され、やむなく中絶手術を受けた人。不妊治療を始めた途端、「妊娠して産休や育休を取得されると困る」と人員整理の対象にされた人……。だから小酒部さんは「この賞は私一人が受けたのではない。マタハラと闘う日本の女性たち皆に対する米国政府からの応援メッセージだと思う」と語るのだ。

 今月、授賞式のための渡米中、ミシェル・オバマ米大統領夫人の訪日予定を知った。ミシェル夫人に“直訴”しようと考えた。「どうか安倍晋三首相に私のことを伝えてください。歴代首相の中で誰より『女性活躍』を高く掲げている安倍首相にこそ、マタハラに苦しむ多くの女性たちの現実を知ってもらいたい」と。

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