一般社団法人 日本経済団体連合会、2017年3月13日
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/018.html
3月13日、経団連と連合は、時間外労働の上限規制等に関して下記のとおり合意に達した。
日本経済団体連合会と日本労働組合総連合会は、働き方改革を強力に推し進め、長時間労働に依存した企業文化や職場風土の抜本的な見直しを図ることで、過労死・過労自殺ゼロの実現と、女性や若者、高齢者など多様な人材が活躍できる社会の構築に不退転の決意で取り組む。
両団体は、罰則付きの時間外労働の上限規制導入という、労働基準法70年の歴史の中で特筆すべき大改革に合意した。その際、労働組合に属さない労働者の保護や中小・零細企業の対応可能性なども考慮した。
政府には、働き方改革実現会議が近く取りまとめる実行計画に、下記の合意内容を盛り込むことを要望する。
なお、労働基準法は、労働者が人たるに値する生活を充たすうえでの最低基準を定めたものであり、労使はその向上を図るよう努めるべきとされている。特別の事情により「特別条項」を適用する場合でも、上限時間水準までの協定を安易に締結するのではなく、月45時間、年360時間の原則的上限に近づける努力が重要である。
個別企業労使には、このことをしっかり確認し合いながら、自社の事情に即した時間外労働の削減に不断の努力を求めたい。
記
1.上限規制
時間外労働の上限規制は、月45時間、年360時間とする。ただし、一時的な業務量の増加がやむを得ない特定の場合の上限については、
1.年間の時間外労働は月平均60時間(年720時間)以内とする
2.休日労働を含んで、2ヵ月ないし6ヵ月平均は80時間(*)以内とする
3.休日労働を含んで、単月は100時間を基準値とする
4.月45時間を超える時間外労働は年半分を超えないこととする
以上を労働基準法に明記する。これらの上限規制は、罰則付きで実効性を担保する。
さらに、現行省令で定める36協定の必須記載事項として、月45時間を超えて時間外労働した者に対する健康・福祉確保措置内容を追加するとともに、特別条項付36協定を締結する際の様式等を定める指針に時間外労働の削減に向けた労使の自主的な努力規定を盛り込む。
(*)2ヵ月ないし6ヵ月平均80時間以内とは、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月のいずれにおいても月平均80時間を超えないことを意味する。
2.勤務間インターバル制度
終業から始業までに一定時間の休息時間を設ける、勤務間インターバル制度を労働時間等設定改善法及び同指針に盛り込む。また、制度の普及促進に向けて、労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。
3.過労死等を防止するための対策
過労死等防止対策推進法に基づく大綱を見直す際、メンタルヘルス対策等の新たな政府目標を掲げることを検討する。職場のパワーハラスメント防止に向けて、労使関係者を交えた場で対策の検討を行う。
4.労働政策審議会における検討
上限規制に関する詳細については、労働政策審議会で検討する。
5.検討規定
法律施行5年経過時において、法律の施行状況や過労死等労災認定の状況、長時間労働の削減状況、企業活動への影響(特に中小・零細企業)などに基づき、労働時間法制のあり方全般について検討を行うこととし、その旨を労働基準法附則に記載する。
以上
一般社団法人日本経済団体連合会
会長 榊原 定征
日本労働組合総連合会
会長 神津 里季生