朝日DIGITAL 2017年4月26日
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真宗大谷派の本山・東本願寺(京都市下京区)は、僧籍を持つ元職員2人への残業代などが4年間未払いだったとして、25日までに計約657万円を支払った。寺は「寺の仕事は僧侶にとっての『自己研鑽(けんさん)』ととらえ、慣例として残業代は支払ってこなかった」と釈明、今後はタイムカードを導入するなど、労働環境改善に取り組むという。
元職員は38歳と34歳で、全国から訪れる門信徒の世話係「補導(ほどう)」を2013年4月から今年3月末まで務めた。宿直があり、多忙な月は残業が100時間を超えたが、残業代や扶養手当は支払われてこなかった。
2人は労働組合「きょうとユニオン」(同市南区)に相談。団体交渉の結果、寺は「労働管理が不十分だった」として、労働時間を記録し、その対価を求めていた2人の請求を認めた。
3月末で2人の4年間の任期が満了。希望すれば1年間更新されるのが慣例だったが、希望しても更新はかなわず退職したという。38歳の職員は「私たち以外にも残業代が未払いの職員がいる。職を失うのを恐れて何も言えなくなっている」と指摘する。
東本願寺によると、1973年に「時間外手当は支給しない」との覚書を作成したが、以降は職員採用の際に残業代について説明はしてこなかった。
補導に残業代が支払われるのは今回が初めて。寺宗務所の下野真人総務部長は「寺は自己研鑽の場だからと言って、無償で仕事をさせるわけにはいかない。覚書の内容も時代にそぐわなくなっている」と話した。(安倍龍太郎)