毎日新聞 2017年5月11日
https://mainichi.jp/articles/20170511/ddl/k14/040/094000c
長時間労働などによる働き過ぎで命を奪われた過労死の遺族らが今月、「神奈川過労死等を考える家族の会」を結成する。過労に苦しんだり悩んだりする人や家族、遺族の相談に乗ったり、弁護士探しを支援したりしていく。こうした会は首都圏では東京に次いで2カ所目という。
会の代表に就くのは10年前に夫を亡くした工藤祥子さん(50)=東京都町田市。夫は横浜市の中学校の保健体育の教員だったが、残業や部活動の指導などで長時間労働が続く中、くも膜下出血で倒れ、40歳で命を落とした。
残された工藤さんは育ち盛りの娘2人を抱え、途方に暮れた。だが、周囲の人たちや弁護士らに支えられ、夫が亡くなって5年後、公務員の労災に当たる公務災害が認められた。
設立に当たって10日、県庁で記者会見した工藤さんは、こうした経験を踏まえ、「過労死や精神疾患で家族を亡くした遺族はどうしたらいいか分からず、泣き寝入りする人も多いと思う。相談に乗って『こういう道もある』というお手伝いをさせていただけたら」と語った。
会は25日に設立し、同日午後6時半から開港記念会館(横浜市中区)で「結成記念の集い」を開催する。過労死対策に取り組む弁護士による講演や、「全国過労死を考える家族の会」などの代表者があいさつする。問い合わせは神奈川総合法律事務所(045・222・4401)。【宇多川はるか】