キッズウィーク導入へ
働く人が年次有給休暇(有休)を取りやすくするため、政府は近く「休み方改革」の官民推進会議を開く。2018年度の有休の取得日数を前年度より3日増やすよう企業に要請し、実際に増えた企業を助成する仕組みも検討する。学校の長期休暇の一部を地域ごとに分散させる「キッズウィーク」と組み合わせ、消費拡大や観光振興につなげる狙いだ。
菅義偉官房長官は5日の記者会見で、「大人と子どもが一緒に休むために学校や企業など多方面で共通理解が必要だ」と述べた。
有休は働く人の疲労回復のための制度。政府は取得率を20年までに70%に引き上げるとの目標を10年に掲げた。しかし、16年調査では48・7%。労働者1人あたり年18・1日が付与されたが、実際に取れたのは8・8日だった。政府は「働き方改革」で掲げる長時間労働の是正には、取得率アップなどの「休み方改革」が必要と判断した。
官民推進会議は、企業経営者や有識者が参加し、休み方改革の実現に向けた具体策を今年度中にまとめる方針だ。施策の具体化に向け、地域ごとの協議会も設ける。政府が18年度の導入を目指すキッズウィークに保護者が同時に有休を取得できるようにすることなども念頭に置いている。
キッズウィークは、夏休みなど、公立小中高校の長期休暇の開始を遅らせたり終了を早めたりした分を別の時期に移し、前後の土日と合わせて設ける大型連休。政府は経済財政運営の基本指針「骨太の方針」素案にも明記した。
有休取得日数の3日増の目標は、政府が昨年3月にまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」でも掲げている。官民推進会議は法的な枠組みを変えることを念頭に置いているわけではなく、「国民運動のようなもの」(政府関係者)になる見通しだ。(平林大輔)