長野労働局は、長時間労働が疑われる県内の事業場に対する監督指導の結果を初めて公表した。昨年度の結果で、過労死の「危険ライン」とされる月80時間超の時間外労働(残業)を238事業場で確認した。200時間超の残業を確認した事業場もあった。
2015年12月に広告大手・電通で新入社員が自殺した問題や、「働き方改革」が問われていることなどを踏まえ、今年から結果の公表に踏み切った。
昨年度は従業員からの相談などを受け、584事業場に、立ち入り調査などの監督指導を実施。このうち7割超にあたる441事業場で、違法な時間外労働や賃金不払い残業など労働関係の法令違反を確認した。
違法な時間外労働が確認されたのは324事業場。このうち238事業場で、残業が月80時間超の従業員がいた。中でも、月100時間超は152事業場、月150時間超は26事業場、月200時間超は5事業場あった。
業種別で時間外労働が最も多かったのは、製造業の142事業場。接客娯楽業が47事業場、商業が45事業場と続いた。
このほか、賃金不払い残業が41事業場、医師による面接指導などを怠った健康障害防止措置の未実施が70事業場であった。
長野労働局の担当者は「全国と比べて、長野県は法令に違反している事業場が多い印象だ。いっそう監督指導に力を入れていく必要がある」と話した。(辻隆徳)
■【是正・改善指導の対象となった主な事例】
・労働者約150人を使用する事業場で、15人の労働者に対し、月100時間超の違法な時間外労働・休日労働。最も長い労働者(プログラマー)では月167時間=ソフトウェア業
・最盛期には100人を超える労働者を使用するスキー場関連施設で、今年1月に4人の労働者に対し、月100時間超の違法な時間外労働・休日労働。最も長い労働者(現場作業員)は月200時間超=接客娯楽業
・労働者約150人を使用する事業場で、12人の労働者に対し、月100時間超の違法な時間外労働・休日労働。特別条項付き「36協定」を締結していたが、特別延長時間及び延長回数が協定の基準を超えていた=製造業