渋谷労基署 裁量労働制適用「無効」 ゲーム会社に残業代支払い勧告

 毎日新聞2017年9月6日 中部朝刊

https://mainichi.jp/articles/20170906/ddq/041/040/011000c
 東京都渋谷区のゲーム開発会社「サイバード」に勤務、専門職が対象の「専門業務型」裁量労働制が適用され、宣伝やイベント企画を担当していた女性について、渋谷労働基準監督署が、適用を無効と判断し残業代を支払うよう同社に是正勧告していたことが5日、分かった。勧告は8月14日付。女性は残業が最長で月約80時間に及び、適応障害を発症したと訴えている。
 女性が加入する労働組合「ブラック企業ユニオン」によると、労基署が裁量労働制の適用を無効と判断し、勧告を出すのは珍しいという。裁量労働制はあらかじめ決まった時間を超えて働いても残業代が支払われないが、無効の場合は通常の労働時間規制に基づき、支払いが必要になる。
 同社は共同通信の取材に「未払い残業代の指摘を受けたのは事実で、裁量労働制について認識が不正確だった。現在労基署と相談して見直しを始めている」としている。
 専門業務型はゲーム用ソフトウエア開発など専門職の19業種に限定されており、渋谷労基署は女性の業務が制度の対象外と判断したとみられる。
 女性は昨年から勤務。雇用契約書などには制度の適用が明記され、月約8万円の裁量労働手当は45時間分の残業代に当たるとされていた。女性は人手不足から徹夜作業となることもあり、残業は月80時間に達することもあったという。
 ストレスで連日3、4時間しか眠ることができず、入社直後から体調を崩し、昨年12月に「適応障害」と診断。女性は現在、この会社で働いておらず、ユニオンが会社側との交渉に当たっている。

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