<比べてみよう公約点検>(5)働き方 長時間労働 どう是正

 東京新聞 2017年10月16日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017101602000117.html

大手広告会社の新入社員の過労自殺を機に、過労死が改めて大きな社会問題となっている。過労死、過労自殺者数は未遂も含め、年間二百人前後で推移している。働き方の見直しは先送りできない課題だ。各党は衆院選公約で、こぞって長時間労働の是正を掲げるが、政府が目指す「働き方改革」への対応は分かれる。

衆院解散前に政府がまとめた「働き方改革」関連一括法案には、罰則付きで残業時間に上限規制を設けることや、正社員と非正社員の待遇差を縮める「同一労働同一賃金」に向けた見直しが盛り込まれた。解散がなければ、臨時国会で審議が行われるはずだった。

自民党は公約で「働き方改革を推進する」とし、長時間労働是正や同一労働同一賃金の実現などを訴えた。公明党も時間外労働に罰則付きの上限規制を導入するとした。日本のこころは同一労働同一賃金の徹底などを示す。今後、法案が出されれば賛成する方針だ。

政府が準備した法案には収入が高い一部専門職を労働時間規制から外す制度も含まれた。政府が「高度プロフェッショナル制度」と呼ぶ同制度には、働き過ぎを促すとの批判もある。

共産、社民両党は公約で、同制度は「残業代ゼロ」の制度だとして、反対を鮮明にしている。

共産は「安倍政権が進める『働き方改革』は、過労死の根絶や安定した雇用実現ではなく、財界・大企業の利益を追求する経済対策」だと批判。勤務終了から次の勤務開始まで十一時間空ける「インターバル規制」の導入を挙げた。社民も「労働者保護ルールの改悪」と批判し、インターバル規制導入を盛り込んだ。

立憲民主党は「長時間労働の規制」などを掲げる。枝野幸男代表は討論会で「残業代ゼロ」制度創設に「過労死や過労自死が相次いでいる時に、逆行していないか」と批判した。

日本維新の会は「労働時間ではなく、仕事の成果で評価する働き方を可能とする労働基準法改正」を訴えている。同党は道州制導入を目指しており「地域の実情に応じ、地域で働き方を決めるべきだ」(事務局)と、政府と一定の距離を置いている。

希望の党は「長時間労働への法的規制」「ブラック企業ゼロ」を公約に掲げる。政府の働き方改革について、同党事務局は「党としての統一見解はない」と説明している。 (編集委員・上坂修子)

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