朝日DIGITAL 2018年3月28日
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写真・図版(省略)
野村不動産に対する特別指導について加藤勝信厚生労働相が事前に報告を受けた際の資料。厚労省はほとんど黒塗りにして開示した
男性社員が過労自殺した野村不動産に対する厚生労働省東京労働局の特別指導を巡り、厚労省は28日、特別指導の前に加藤勝信厚労相が報告を受けた際の資料を衆院厚労委員会の理事会に提出した。昨年12月25日の特別指導の時点で加藤氏が過労自殺を知っていたかどうかが焦点になっているが、開示された資料は大半が黒塗りだった。真相解明にはほど遠く、野党は反発を強めている。
開示された特別指導の資料(PDF)
裁量労働で自殺、加藤氏に報告は?厚労省「回答控える」
厚労省が提出したのは昨年11月17日、同22日、12月22日の3回にわたり、加藤氏への報告の際に示した資料で、A4判で計5枚。野党の求めを受けて示したが、個人情報にかかわる部分や、今後の労働基準監督署の調査に影響を及ぼすおそれがある部分を黒塗りにしたとしている。
野村不動産の裁量労働制の運用状況について調査し、東京労働局長が特別指導について定例会見で公表することなどを報告した部分は開示されたが、調査をした経緯や結果、調査で認められた問題点の一部など大部分が黒塗りだった。タイトルの一部も黒塗りにされており、黒塗りでない部分に過労自殺に関する記述は一切なかった。すべてが黒塗りの項目や、「2」という項目番号以外がすべて黒塗りになっているページもあった。
希望の党の山井和則氏はこの日の衆院厚労委で、野村不動産が男性社員の過労自殺を認めていると指摘したうえで、加藤氏に「何を隠しているのか。(黒塗りの部分に)過労死、労災申請、労災認定という言葉が入っているのではないか」とただした。加藤氏は個人情報への配慮などを理由に、「お答えを差し控えさせていただく」と応じなかった。