「アリさん引越社」に不当認定 シュレッダー係への異動

朝日DIGITAL 2017年8月23日

http://digital.asahi.com/articles/ASK8R41T6K8RULFA008.html

「アリさんマークの引越社」を展開する引越社関東(東京)が、社外の労働組合に加入して交渉を求めた男性社員(36)を「シュレッダー係」に異動させたことなどについて、東京都労働委員会は23日、不当労働行為にあたると認定し、同社などに救済措置を取るよう命じた。

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男性は2015年3月に社外の労組に入り、引っ越し荷物の破損や事故を社員に弁償させる制度の改善を要求。その後、男性は営業職からシュレッダー係への異動を命じられ、同年8月に懲戒解雇された。

同社などは解雇理由を「罪状」と記載した男性の顔写真入りの文章を社内に張り出し、社内報にも掲載して全従業員に送った。男性が地位保全を求める仮処分を裁判所に申し立て、同社は解雇を撤回したが、労組は同社などの一連の対応は不当労働行為にあたるとして都労委に救済を申し立てていた。都労委は、不当労働行為に認定されたことや同様の行為を繰り返さないことを記した文書を社内に掲示し、同じ内容を掲載した社内報を全従業員に送るよう命じた。

同社は取材に対し、「中身を把握していないのでコメントは控えたい」としている。都労委の命令に不服があれば、中央労働委員会に再審査を申し立てるか、裁判所に命令の取り消し訴訟を起こすことができる。

男性は異動の無効や慰謝料の支払いを求めて15年に東京地裁に提訴もした。同社は「異動は社会的相当性を欠いた」と認めて男性を元の職場に戻して謝罪し、今年5月に和解している。(土屋亮)
 

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